
バンタム級に上げた初戦。しかも、いきなり世界戦。
普通なら「様子見」になってもおかしくない条件だった。
だが中谷潤人は、最初から違った。
アレハンドロ・サンティアゴ戦で見せたのは、階級適応というより「完成形の持ち込み」。
距離・左・ペース配分・試合中の修正……。
バンタム級初戦とは思えないほど、すべてが整っていた。
この記事では、サンティアゴ戦がなぜ衝撃だったのかを、試合の流れと中谷潤人の適応力という視点から整理していく。
試合結果(中谷潤人vsアレハンドロ・サンティアゴ)
- 試合日:2024年2月24日
- 会場:東京・両国国技館
- 試合:WBC世界バンタム級タイトルマッチ(12回戦)
- 結果:中谷潤人が6回1分12秒TKO勝ち
- 達成:バンタム級初戦でWBC王座獲得+3階級制覇
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結論|サンティアゴ戦は「バンタム級でも別格」を一撃で証明した
結論から言うと、サンティアゴ戦は「勝った試合」ではなく、“通用するか”という疑問を消した試合だった。
階級を上げた初戦には、普通なら不安が出る。
- 距離感がズレる
- 相手のスピードに間に合わない
- 当たりが強くなって被弾が増える
- 自分のペースを作れない
ところが中谷潤人は、その不安要素を一切見せない。
「慣れてきたら強い」ではなく、
最初からバンタム級の空気を支配していた。
サンティアゴは弱かったのか?|「弱く見えた」のは中谷の支配が強すぎたから
一方的な内容になると、必ずこう言われる。
「相手が弱かっただけでは?」
でも、この試合に関しては違う。
サンティアゴは、ただの挑戦者ではない。
ノニト・ドネアを破ってWBC王者になった実力者だ。
つまり――世界戦の緊張感を知っている。12Rの戦い方を知っている。勝ち方を知っている。
そのサンティアゴが、中谷の前では「何もできない」ように見えた。
これは相手の弱さではなく、中谷の“封じ方”が完成していたと考える方が自然だ。
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試合の流れ|カット→公開採点→仕留め…「階級初戦の試合運び」ではなかった
サンティアゴ戦が“試合記事”として説得力を持つのは、内容がちゃんと積み上がっているからだ。
まず象徴的なのが、3回の偶然のバッティング(頭の衝突)でのカット。
階級初戦でアクシデントが起きれば、流れが乱れるのが普通だ。
でも中谷はまったく動じなかった。
距離を崩さない。テンポも変えない。
「このまま勝てる」という感触が、画面越しでも伝わるほどだった。
そして4回終了時点の公開採点は、3者とも40-36で中谷。
この時点で、世界戦としての勝敗の空気は固まっていた。
あとは仕留めるだけ。
6回、中谷は圧を一気に上げる。
サンティアゴの足を止め、崩し、最後は連打で決めた。
公式記録は6回1分12秒TKO。
この流れが“理詰め”だったからこそ、勝利の価値が増す。
衝撃①|距離が完璧すぎる(バンタム級でも触らせない)
この試合で一番ゾッとするのは距離感だ。
中谷はリーチが長い。
ただ、それ以上に厄介なのは、相手が「入った」と思った瞬間に、すでに中谷の射程になっていること。
サンティアゴが攻めるために踏み込む。
その瞬間、先に中谷の左が刺さる。
これが続くと、相手は戦い方を失う。
- 遠いと届かない
- 近づくと先に被弾する
- 下がっても削られる
戦術以前に、「試合を組み立てる土台」が崩れる。
サンティアゴはまさにその状態だった。
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衝撃②|左の精度が異常(“当てに行く”のではなく吸い込まれる)
中谷の左は強い。けれど怖さはパワーだけじゃない。
当たる角度が多いのに、全部同じフォームから出る。
ストレートに見せて角度がズレる。
フックが急に短く入る。
(距離が詰まれば)アッパーも混ぜられる。
だから相手は、守り方が定まらない。
ガードした「つもり」でも当たる。
耐えているだけで削られていく。
この試合の左は、まさに“吸い込まれる左”だった。
衝撃③|圧が消えない(上の階級仕様のフィジカル)
階級を上げた選手が最初に苦しむのは、相手のフィジカルだ。
体の当たり、組んだときの強さ、押し返される感覚。
でも中谷には、それがなかった。
乱暴に押すわけでもない。
ただ、相手が嫌がる位置に立ち続ける。
そして逃げ道を消す。
サンティアゴは、殴られたから苦しいだけではない。
呼吸できる距離を奪われていた。
この“窒息するような圧”が、バンタム級でも成立してしまったのが怖い。
衝撃④|試合中の修正が速い=「適応力」の正体
この試合のテーマである「適応力」は、ここにある。
中谷は、試合中に答えを出すのが速い。
序盤で反応を見て、数パターン試す。
当たりが良い攻めを見つけた瞬間、そこに寄せる。
そして相手が修正する前に、次の段階へ進む。
相手の思考が追いつく前に、展開が変わっている。
だから王者経験者のサンティアゴですら、流れを変えられなかった。
“階級に慣れたら強い選手”は多い。
でも中谷は違う。
階級が変わっても、勝ち方が変わらない。
まとめ|サンティアゴ戦は「階級適応」という言葉を終わらせた
中谷潤人vsアレハンドロ・サンティアゴ戦は、バンタム級初戦の世界戦だった。
しかも相手は、ドネアを破って王者になった男。
その相手に対して中谷が見せたのは――
- 距離で触らせない
- 左で削り続ける
- 圧で逃げ道を消す
- 試合中に最適解へ修正する
そして結果は6回1分12秒TKO。
「バンタム級に適応した」ではなく、
最初からバンタム級で完成していた。
サンティアゴ戦は、それを証明した試合だったと思う。
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