ノニト・ドネアの出世試合と言うべきでしょうか、モンティエル戦同様、このダルチニアン戦も、とても印象に残る試合となってますね、これがベストバウトだと言う方もいるでしょう。
ノニト・ドネアを世界に知らしめたこのダルチニアン戦。衝撃的なKO劇をプレイバックします。
ノニト・ドネアVSビック・ダルチニアン
2007年7月7日、アメリカ・ブリッジポート
IBF/IBO世界フライ級タイトルマッチ
王者:ビッグ・ダルチニアンVS挑戦者:ノニト・ドネア
ノニト・ドネアと言えば、VSフェルナンド・モンティエル戦と同様に、VSビック・ダルチニアン戦が思い浮かぶ方も多いと思います。
当時のビック・ダルチニアンは、フライ級世界最強と言われていた選手です。そのダルチニアンに対し圧倒的な試合を行いました。
またドネアにとってこのダルチニアン戦が初めての世界戦(5階級制覇の始め)でしたので、オッズも1:7をと圧倒的に不利な状況にもかかわらず、それをものともせず勇敢に戦いました。
ダルチニアンの戦績を紹介
本名:バクタン・ダルチニアン
生年月日:1976年1月7日
国籍:アルメニア・豪
身長:166cm
リーチ:164cm
スタイル:サウスポー
戦績:53戦43勝(32KO)9敗1分
【獲得タイトル】
豪州フライ級王座
OBAオセアニアバンタム級王座
IBF環太平洋フライ級王座
IBF豪州スーパーフライ級王座
ABCO(WBCアジア)スーパーバンタム級王座
NABF北米スーパーバンタム級王座
IBO世界フライ級王座
IBO世界スーパーフライ級王座
IBO世界バンタム級王座
IBO世界バンタム級王座
第16代IBF世界フライ級王座
第2代WBA世界スーパーフライ級スーパー王座
第20代WBC世界スーパーフライ級王座
第19代IBF世界スーパーフライ級王座
ノニト・ドネアVSビッグ・ダルチニアン 試合詳細
ドネアとの対戦時にダルチニアンは、28戦全勝、22KOと絶好調です。
・1~2ラウンド
ドネアはオーソドックス、ダルチニアンはサウスポースタイルでの対峙、ドネアの方が体格的に有利ですね、大きい。
ドネアは得意のスピードを生かしてダルチニアンに攻めていく、一方のダルチニアンも変則的な動きでドネアの空いているところを狙っているのか、落ち着いています。
ドネア、ジャブもストレートも速い!ダルチニアン面食らっている様子。
ダルチニアンが渾身の左ストレートを放つと同時にドネアの左フックのカウンターが浅く当たる。
この頃からすでに相手のパンチと同時にカウンターを合わせる戦法は身に着けていたのですね。
打てば必ず空きますからね。
この戦法は特許ものだな・・誰もやっていなかったし、その発想もない。世界初だから
それにしてもダルチニアンはガードがガラ空きです、でもその変則的な戦法で相手を倒してきたのでね、一撃でカウンターがもろに入りそうな距離間なので観てるこちら側がヒヤヒヤしますね。
それにしてもダルチニアンは荒々しいね
ドネア優勢
・3~4ラウンド
このラウンドからドネアはボディー攻撃を多く入れる。そして下に意識を持っていき上を攻めていく
ダルチニアンも徐々に距離間が分かってきたか、いいタイミングでボディーやストレートを放っていく。ダルチニアンはノーモーションで一気に距離を詰めて左ストレートを放つがまだ浅い
3ラウンド後半、ダルチニアンが左ストレートを放つ瞬間にドネア左フックが当たり、ダルチニアングラついてドネアが攻め立てる。ダルチニアンはガードが低すぎです・・そしてダルチニアン右眉下をカットします。
4ラウンドもドネア優勢、ドネアはボディー攻撃をしつつカウンターを狙い、また右ストレートも当たってきてる。ドネアは左だけでなく、右ストレートも威力抜群ですね、左利きのオーソドックススタイルですが。
ダルチニアンは一発を狙いすぎ感があります。威力はありそうだが、ドネアのカウンター餌食になる場面が見れました。
ドネア優勢
・5ラウンド
このラウンドになると、完全にドネアペースか、筆者にはドネアが空間を支配しているようにも見えました。
もう、いつでもカウンターが炸裂するような予感が。それでもドネアはボディー攻撃で意識を下に下に持っていっています。
そしてラウンドの半分を過ぎた頃、その瞬間は突然訪れます。ダルチニアンは右ジャブ打った後、左ストレートを放とうとした瞬間、これまでドネアが再三タイミングを合わせてきていた左フックがダルチニアンの顔面にまともに当たりダウン!!
ダルチニアン立ち上がろうとするがすでにフラフラで、立つには立ったがロープにもたれかかり、そこでレフリーストップ。5ラウンド1分38秒TKO勝利でIBF/IBO世界フライ級王者に
ドネアにとって初めての世界王者で、その相手がダルチニアンなので、とても価値のある勝利ですね
また、ドネアのお兄さんのグレン・ドネアはダルチニアンに負けていたので兄の敵討ちの意味でも成功。兄のグレン・ドネアはとっても喜んでいました。
まとめ
ノニト・ドネアVSビッグ・ダルチニアンのIBF/IBO世界フライ級タイトルマッチは、挑戦者のノニト・ドネアが5ラウンド1分38秒、ドネアの”フィリピーノフラッシュ”でTKO勝利をおさめ新王者に
5階級制覇の始まりですね
この試合はモンティエル戦同様、とても印象に残る試合になりました。いままで誰も行った事のない「右フックに対しての左フックのカウンター」合わせがものの見事に決まった試合でもあります。
この後、他のボクサーも参考にした戦法でもあり、井上尚弥もドネアの戦いを参考にしています。
この左フックの”フィリピーノフラッシュ”で、多くのKOの山を築き、瞬く間にスターダムへと上がっていったノニト・ドネアはボクシング界の至宝でもありますね。
ホントに衝撃的なKO勝利でした。
おわり