2025年12月17日、ボクシングファンの視線が注がれた東京・両国国技館。
WBA世界バンタム級正規王者・堤 聖也(角海老宝石)と、4階級制覇の実績を持つ暫定王者・ノニト・ドネア(フィリピン)による王座統一戦が行われました。
「新旧交代」か、それとも「レジェンドの帰還」か。
大歓声の中で行われた12ラウンドの死闘は、判定が割れる大接戦となりました。現地観戦の熱気そのままに、試合の詳細レポートをお届けします。
試合結果速報
勝者:堤 聖也
判定2-1 (115-113, 117-111, 112-116)
※WBA世界バンタム級王座統一・V2達成
【詳細採点】スプリットデシジョンの内訳
試合終了のゴングが鳴った瞬間、どちらが勝ったか確信を持てた観客は少なかったかもしれません。それほどまでに拮抗した内容でした。
ジャッジ3名の採点は以下の通りです。
| ジャッジ | 堤 聖也 | N.ドネア | 優勢 |
|---|---|---|---|
| ジャッジA | 115 | 113 | 堤 |
| ジャッジB | 117 | 111 | 堤 |
| ジャッジC | 112 | 116 | ドネア |
特筆すべきはジャッジBの「117-111」という点差と、ジャッジCのドネア支持です。見る角度によって「有効打(ドネア)」を取るか「手数と支配率(堤)」を取るか、見方が分かれる玄人好みの試合展開でした。
ラウンド別・試合展開完全レポート
【序盤 1R-4R】ドネアの"閃光"が空間を支配
開始直後、会場の空気を支配したのは43歳のレジェンドでした。
ドネアは年齢を感じさせないハンドスピードで、左フックのカウンターをチラつかせながらプレッシャーをかけます。堤選手は持ち前のフットワークで距離を探りますが、ドネアの「見えない圧力」になかなか踏み込めない展開が続きました。
3ラウンド終了間際、ドネアの左ボディが堤の腹を捉え、堤が一瞬動きを止める危険なシーンも。
【中盤 5R-8R】激しい主導権争い
中盤に入ると、堤選手がギアを上げます。「打たせずに打つ」から「打たれても打ち返す」覚悟を決めたように見えました。
被弾を恐れず距離を詰め、回転の速い連打でドネアをロープ際に追い込みます。しかしドネアも百戦錬磨。ロープを背負いながらも、堤の打ち終わりに強烈な右ストレートを合わせ、決定打を許しません。
この時間帯は、一進一退の攻防が続き、ジャッジ泣かせのラウンドが続きました。
【終盤 9R-12R】若さとスタミナが凌駕する
勝負を分けたのは、やはり「チャンピオンシップ・ラウンド」と呼ばれるラスト3ラウンドでした。
明らかに疲労の色が見え始めたドネアに対し、堤選手のスタミナは無尽蔵でした。上下に打ち分けるコンビネーションでドネアのガードをこじ開け、ポイントを明確にピックアップ。
最終12ラウンド、逆転KOを狙って前に出るドネアに対し、堤は真っ向から打ち合いに応じ、会場のボルテージは最高潮に達したまま終了のゴングを聞きました。
【今後の展望】井上拓真との「運命の対決」へ
中谷潤人や西田凌佑といったライバルたちがスーパーバンタム級へ戦場を移した今、バンタム級戦線で最も実現が待たれるカードがあります。
それは、前王者・井上拓真との対戦です。
今日の試合でドネアというレジェンドを超え、真の王者としての強さを証明した堤選手。一方、現在はWBC王者で、神童 那須川天心を破り、ホントの意味で殻を破った井上拓真選手。
国内、いや世界最強を証明するための「サバイバルマッチ」として、この両者の対決(再戦)以上のカードは今のバンタム級には見当たりません。
「技術の拓真 vs スタミナと手数の堤」。
2026年、日本のボクシング界を揺るがすビッグマッチの実現に期待が高まります。
以上、堤聖也 vs ノニト・ドネアの試合結果速報と詳細レポートでした。
新たな時代を切り拓いた堤選手の、さらなる飛躍に注目しましょう!
