今回は、ボクシングファンなら誰もが胸を熱くする「ある再会」について語りたいと思います。日本ボクシング史に刻まれるレジェンド、長谷川穂積さんが、かつての宿敵ウィラポン氏に会うためタイへ向かったときのお話です。
日本テレビ系の人気番組『アナザースカイ』で放送された内容ですが、時間が経った今こそ、この二人の関係性から「ボクシングの本質」が見えてきます。
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日本ボクシング界の英雄・長谷川穂積という男
まずはおさらいですが、長谷川穂積さんは言わずと知れた3階級制覇王者です。
- バンタム級
- フェザー級
- スーパーバンタム級
特にバンタム級での活躍は凄まじく、当時の日本記録である具志堅用高さんの13回連続防衛に迫る「10度防衛」を成し遂げました。スピード感溢れるディフェンスと、一瞬の隙を突く鋭いカウンター。まさに「日本のエース」でした。
そんな彼が、引退後に「どうしても会いたい」と願った相手。それが、タイの怪人ウィラポン・ナコンルアンプロモーションです。
「死神」ウィラポン——辰吉・西岡が勝てなかった壁
ボクシングファンにとって、ウィラポンという名前は一種の「絶望」に近い響きがありました。かつて「浪速のジョー」こと辰吉丈一郎さんが2度挑み、いずれも跳ね返されました。さらに、後に世界王者となる西岡利晃さんでさえ、4度戦って一度も勝てなかった(2敗2分)相手なのです。
「デスマスク(死神)」の異名を持ち、どんなに打たれても無表情。的確なジャブと、岩のような強打。長谷川穂積さんは、2005年にこの絶対王者を判定で破り、世界王者となりました。続く2006年の再戦では、誰もが予想しなかった衝撃の9回TKO勝利。この2試合が、長谷川穂積というレジェンドを決定づけたのは間違いありません。
| 対戦回数 | 結果 | 備考 |
|---|---|---|
| 第1戦 (2005/4/16) | 長谷川 判定勝ち | 世界王座奪取! |
| 第2戦 (2006/3/25) | 長谷川 9回TKO勝ち | 完全決着。 |
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アナザースカイで明かされた「宿敵への感謝」
番組で、長谷川さんはタイへ飛びました。かつての宿敵ウィラポンは今、タイのサラブリという街で、奥様とレストランを経営しています。
画面に映ったウィラポンは、現役時代のあの恐ろしい表情とは打って変わって、とても穏やかで優しい目をしていました。タイではボクサーが引退後に自分の店を持つのは、成功の証でもあります。
ここで長谷川さんが伝えた言葉が、全ボクシングファンの涙を誘いました。
「ウィラポンに恥じないようにチャンピオンになると自分で決めて、10回防衛できた。自分が3階級制覇できた一つの要因は、ウィラポンなんだ」
あのアナザースカイの空の下で、かつて拳を交え、命を削り合った二人が笑い合っている。ボクシングというスポーツが持つ「リスペクト」の極致を見せつけられた気がしました。
タイのボクシング環境とハングリー精神
番組中、長谷川さんはタイのジムも訪れました。そこで目にしたのは、日本とは全く違う過酷な環境です。
- ムエタイとボクシングが混在するジム
- ハングリー精神の違い:生活のために戦う若者たち
タイの若者にとって格闘技は、貧困から抜け出す数少ないチケットなのです。フィリピンの英雄マニー・パッキャオもそうですが、この「ハングリー精神」の差は、日本に住む私たちには想像もできないほど深いものです。その光景を見た長谷川さんが、現地の練習生に自分のボクシンググローブをプレゼントするシーンには、胸が熱くなりました。
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意外な結末!もう一つの戦い、タイ料理対決
実は長谷川穂積さん、自他ともに認めるタイ料理通です。好きが高じて、地元・神戸にタイ料理店「クルアタイ」をオープンさせてしまうほど。番組の最後では、ウィラポンのレストランでまさかの「タイ料理対決」が勃発しました!
かつて拳で戦った二人が、今度は「パッタイ」や「トムヤムクン」の味で競い合う姿は、なんとも微笑ましい光景でした。長谷川さんは一言、「自分のお店の方が美味い」とニヤリ。ここでも負けず嫌いなボクサーの顔がチラリと見えましたね。
まとめ:昨日の敵は、今日の友
今回の旅を通じて感じたのは、「拳を交えた者にしか分からない絆がある」ということです。
ウィラポンという偉大な山があったからこそ、長谷川穂積という伝説が生まれた。そして、激闘から何年も経った今、国境を越えて感謝を伝えに行く。これこそがボクシングの本当の魅力ではないでしょうか。
「昨日の敵は今日の友」
第二の人生を歩む二人のレジェンドに、改めて心からの拍手を送りたいと思います。
皆さんは、この二人の試合でどのシーンが一番心に残っていますか?ぜひコメントやSNSで教えてくださいね!


