中京高校で2年でインターハイ制覇、国体は2連覇、さらに選抜も優勝し、高校4冠を引っさげ鳴り物入りでプロ入りした「中京の怪物」。
ミニマムとライトフライを制覇し、現在フライ級で王座を狙う田中恒成、その人です。
田中選手の3階級制覇は出来るのか?日本人同士の対決や、夢の5階級制覇の可能性に関してみていきたいと思います。
田中恒成の3階級制覇は達成できる?
BoxRecの情報によると、田中選手の身長は164cm。ミニマム級からすると結構大きい方で、平均身長からみるとスーパーフライ級かバンダム級に多い選手の平均です。
あまりイメージはありませんが、田中選手はミニマム時代かなり減量苦があったようで、階級を上げることでより良いパフォーマンスを見込み
ライトフライ、そしてフライ級に主戦場を移してきました。
田口良一選手との統一戦を待たずにライトフライを返上し、フライに移ったのも、眼下底骨折という理由もありますが
まだ若く成長する身体にはライトフライも厳しかったのでしょう。
現在フライ級で1戦をしていますが、おそらく次が世界戦。現在フライ級戦線にいるのは田中選手以外に3人。
まずウクライナのアルテム・ダラキアン。ゲンナジー・ゴロフキンと同じのK2プロモーション所属の選手で、ゴロフキンの試合の前座によく出てきているファイターです。
ローマン・ゴンザレスと戦っているブライアン・ビロリアと王座決定戦を行い、3-0の大差判定でチャンピオンの座を射止めています。
戦績は16戦16勝11KO、軽量級の選手としてはKO率も高い方ですが、最近はKOを量産する軽量級の選手も多く、そこまで強大な敵というわけではなさそうです。
次にドニー・ニエテス。
田中選手が今目指しているミニマム、ライトフライ、フライ級の3階級制覇を成し遂げている選手で、今もIBFでフライ級王座についています。
フライ級に階級を上げてくるであろう比嘉選手の対抗馬として、海外メディアで取り上げられているのが、このニエテス選手です。
軽量級にスポットを当てたイベント「Super Fly2」で元2階級制覇のファン・カルロス・レベコ選手と対戦、7回KO勝ちを収めています。
フィリピン選手で最も長い王座在籍期間を誇っているだけあって、やはりディフェンス技術が高いです。
直近のレベコ戦でもヘッドスリップでパンチをいなすなど、フィリピン選手には珍しい技術も見せています。
身体も厚く、パワーも強烈です。レベコ戦では常に自分のペースで進めていたこともありますが、35歳にして7回まで動きは軽快。
背格好も含め、オフェンスはどことなくローマン・ゴンザレスのような動きです。
アメリカボクシング界の名伯楽、フレディー・ローチ氏は、比嘉大悟選手とニエテス選手が戦った場合、ニエテス選手有利だと挙げています。
ニエテス選手が培ってきた経験が勝るということでした。
それだけニエテス選手の評価は高いんですね。田中選手にとっては強敵となりそうです。
そして日本の木村翔選手、WBOの王者です。おそらく田中選手が最も狙っているのは、この木村選手だと思います。
日本人対決や夢は5階級制覇?
田中選手がかねてより日本人対決を求めていたことから、木村選手への挑戦は最優先で進められると思います。
木村選手側は、興行オプションの関係でゾウ・シミン選手と戦う可能性もありますが、木村選手がチャンピオンで居続ければ、田中選手はそこを狙ってくるでしょう。
直近のフライ級での田中対ロニー・バルドナド戦では、木村選手も解説席に入ったり、試合後戦う可能性に関して言及しています。
お互いにも戦いたいと思っているはずです。木村選手は「中国で最も有名な日本人」の一人と言われていますし、その防衛戦はゴールデン・タイムで流れました。
田中選手が持っていない、全国レベルの知名度を持っている選手です。その木村に勝った田中となれば、よりその名が広がっていくでしょう。
正直田中恒成選手は2階級を制覇しているのにもかかわらず、知名度が高くありません。対木村戦で、より高められると思います。
また、木村選手が他2人のチャンピオンに比べて「穴場」であることもあります。
ドニー・ニエテス、アルテム・ダラキアンと比べ情報も多いですし、傍から見ても上手いボクシングをする選手ではありません。
しかしながら、その決して上手くないボクシングで、アマチュアエリートのゾウ・シミン、五十嵐俊幸を撃破しています。
特筆すべきはそのスタミナ。対ゾウ選手の勝利を決めた11ラウンドでもガードは決して下がっていませんでした。
木村選手本人も、アマエリートに対して自信を持っているはずです。今最も実現可能性の高い木村対田中、早い時期に実現してほしいですね。
そして田中選手が3階級を制覇したとして、その後はどうするのか?本人は、その夢を5階級制覇としています。
もちろんリップサービス的に言っている可能性もありますが、その5階級実現のためには、どのような壁が立ちはだかるのか、見ていきたいと思います。
田中選手が5階級を目指すとすれば、標的はスーパーフライとバンダムです。
バンダムはライアン・バーネット、ジェイミー・マクドネル、ゾラニ・テテ。スーパーフライではカリッド・ヤファイやシーサケット・ソールビンサイがいます。
現時点でその2つに日本人チャンピオンはいませんが、比嘉大悟選手、井上尚哉選手、亀田和毅選手がいます。
3人とも、いずれこの階級のチャンピオンの座に就くでしょう
特に比嘉選手と井上選手は階級を上げることでスピードも落ちず適正体重に近づくといった事だと思うので、間違いないはずです。
上記、2つの階級のチャンピオンに田中選手が勝てる可能性ですが
現在ミニマムとライトフライで被弾も多くダウン経験もあるので、正直難しいのかな、というのが私の印象です。
田中選手のハンドスピードは確かに速い。様々な角度で打つ連続のジャブなど、シャドーやサンドバッグを見ても非常に速いです。
ただ、反射スピードとなると、疑問符が付きます。
ランキング13位のパランポン選手にダウンを奪われるなど、多少の被打覚悟で行っているようなイメージもありますが、階級を上げていくとなると危険ですね。
アマチュアでの経験を込みで考えても、ダウン後の試合運びはプロ11戦目の選手ではありません。多少は被弾覚悟で行っているような気がします。
ただ、スーパーフライ、バンダムの強打に耐えうるかというと、そうではないと思います。ミニマム・フライでダウンを喫しているので、耐久性はそこまでないはずです
それがバンダムまでとなると、仕留められる可能性があるでしょう。4階級5階級はまだ日本人未踏の地です。3階級ですらとんでもない大記録。
現在のフライ級で是非王座をとってほしいですね。
まとめ
以上、田中選手の3階級達成の可能性、日本人対決や5階級制覇に関して書かせていただきました。
体重の壁に苦しむかと思いますが、3階級までなら可能だと思います。
特に対日本人の木村選手との対戦は面白そうですね。田中対木村はエリート対雑草という図式で、日本人が好きな類の戦いです。
5階級は、田中選手自身がそこまで現実みを以て言っているのか不明ですが、今のチャンピオンの層と、田中選手の耐久度を考えると厳しいと思います。
今後田中選手の体の成長如何で変わってきますが、今は目前の3階級制覇に向けて頑張ってほしいですね。
おわり