この階級からは、ウェルターと並んで花形階級といえるでしょう!
記憶に新しいところだと、フロイド・メイウェザー・ジュニア、サウル・アルバレス、少し遡るとデラホーや、トリニダード、ロベルト・デュランなんかもこの階級で活躍しました。
日本人の王者も結構出ています。ウェルターがいなかったのに不思議ですね。
一番有名なのは輪島功一選手ですね・・
今でこそおバカタレントですが、身長169cm・リーチ168cmの体格でスーパーウェルターの王者に3度輝いたのは竹原慎二のミドル級奪還よりも、ある意味偉業ではないでしょうか。
他にも在位期間は短いですが、三原正、工藤政志、石田順裕選手がこの階級のチャンピオンになっています。
石田選手以降、この階級に日本人王者は出ていません。一番近いところにいるのが、亀海選手でしょうか。
現在この階級に王者は4人。では、それぞれ見ていきましょう。
WBA正規王者 ブライアン・カスターノ
この選手はアルゼンチンのボクサーです。
11歳から、同じプロボクサーであった父親からその手ほどきを受けまてす。南米選手権を制するなど、アマ戦績は181勝5敗の好成績。
エロール・スペンス・ジュニアに勝ったという記録も残っています。
2012年にプロデビュー。現在まで15戦15勝11KOのパーフェクトレコード!
デビュー6年で15試合と、少し試合数が寂しいですが、8戦目が終わった頃に不整脈を患ってしまったこともあるらしいです。
初の戴冠はWBAの暫定でした。対エマヌエル・デ・へススと暫定王座決定戦を行い、6ラウンドでKO勝ちを収め、暫定ながら王座を獲得に成功します。
2018年5月現在までで同王座は2度防衛しています。
2017年10月には、ミドル級に転向したデメトリアス・アンドラーデの正規王者返上にともない、ブライアンが正規に格上げされました。
WBAは、当時WBAのスーパー王座だったエリスランディ・ララとの対戦を命じましたが実現せず
IBFの王座だったジャレット・ハードとララとの統一戦が行われ、現在ハードがIBFとWBAスーパーの統一王者として君臨しています。
カスターノの直近の試合はセドリック・ビトゥ戦。ここ2戦はフランスで戦っています。王座獲得した試合もアルゼンチン開催だったので、早くアメリカのファンにお披露目してほしいですね。
同じアルゼンチンのルーカス・マティセのようなファイトスタイルなので、本場アメリカのファンに人気は出ると思います。
WBAスーパーのハードとの統一戦よりも、王座から陥落したエリスランディ・ララとの試合の方が実現可能性が高いでしょう。
ハードに負けたララの復帰戦として、カスターノを選んでくれると思います。
実現すればカスターノにとって初めての名前のある選手との対戦です。
WBO王者 サダム・アリ
イエメン移民の両親をもつ、ニューヨーク・ブルックリン出身のボクサーがサダム・アリ。
現在WBOの王者になっています。ファイトスタイルは全く違いますが、同じイエメン系のボクサー、ナジーム・ハメドにインスパイアされ、8歳からボクシングを始めます。
アマチュア時代にも北京オリンピックのアメリカ代表になるなど、アマ歴も錚々たるものです。
アラブ系のアメリカ人がオリンピックアメリカ代表になったのは、彼が初でした。
2009年にプロ転向。現在まで27戦26勝14KO1敗。このキャリアの中でのハイライトは、ジェシー・バルガス戦とミゲル・コット戦ですね。
まずはバルガス戦から。この試合は2016年行われ、WBOウェルターの王座決定戦でした。ティモシー・ブラッドリーの返上に伴い空位になったタイトルです。
ボクシング関係者は接戦を予想しましたが、終わってみればバルガスの積極性と有効打数が圧倒的に勝っていました。
アリは、バルガスに8ラウンドと9ラウンドにダウンを奪われます。右ストレートからのボディでトドメをさされ、王座獲得に失敗しました。
同じ年にカムバックを果たし、3戦を挟んで今度はスーパーウェルターのWBO王座に挑戦します。
対戦相手は2000年代を代表するボクサー、ミゲール・コット。
前の試合で日本の亀海と戦い、いまだ健在の様相を見せたコットでしたが、アリのパワーとステップワークにはついていけてませんでした。
コットも所々ガードの間を通る右ストレートでアリを後退させたり、良いボディを放ちますが、アリの射程距離の長い右ストレートと左フックが効いてしまう場面が多かったです。
アリはこの試合を引退試合としていました。勝利という結果は残せませんでしたが、8歳年下の活きのいい挑戦者に対して大健闘。
判定は3-0でアリに軍配が上がり、デビュー8年目で初めての王座獲得となりました。
WBC王者 ジャーメル・チャーロ
2016年からWBCの王座にいるのはジャーメル・チャーロ。
兄のジャーモール・チャーロもプロボクサーで、現在WBCミドル級の王者です。
一時兄弟で同時にスーパーウェルターの王者になっていた時期があり、非常に珍しい記録となりました。おそらく今一番強い兄弟でしょう。
この2人の違うを言うならば、「力のジャーモール、キレのジャーメル」といったところです。年の離れた兄弟ではなく双子とのこと。
父親の影響で2人とおボクシングを始め、ジャーメルの方は2005年のジュニアオリンピックに出場し銅メダルを獲得します。アマチュア戦績は56戦8勝。
デビューは2007年、18歳の時。そして現在まで、30戦30勝15KOのパーフェクトレコードを残しています。
2016年WBC総会が行われた中国で、WBCはチャーロに対してジョン・ジャクソンとのWBCスーパーウェルター級王座決定戦への参戦を命じます。
メイウェザーの引退に伴い空位になったタイトルでした。
ジョン・ジャクソンとの試合は2015年5月21日に行われたのですが、同日に兄ジャーモールがオースティン・トロウト相手に防衛戦を行い、判定勝ちをおさめています。
ジャーメル対ジョン・ジャクソンは8回TKOでジャーメルの勝利。ワン・ツーを効かせ、ダブルの左フックでレフェリーのストップがかかりました。これで同階級同時兄弟王者の誕生です。
さらにWBCは、ジャーメルに2戦を命じます。初防衛戦は対チャールズ・ハトレー戦。当時WBCの2位にランクされていた選手です。
ショーンポーター対アンドレ・ベルトの前座で行われました。
危なげなく、6ラウンドの右フックで初防衛に成功します。3ラウンドにもジャーメルのコンビネーションがさく裂していましたね。
そして試合後リング上でジャレット・ハードとの対戦を要求。現在WBAスーパーとIBFの正規王者についているチャンピオンです。
ちなみにハードのIBFタイトルは、兄チャーモルの返上により獲得したものでした。
2度目の防衛戦は対エリクソン・ルビン。1ラウンドKOに成功します。ルビンはそれまで17勝13KOの期待の22歳でしたが、それを打ち砕くような1ラウンドKO劇でした。
次戦は6月9日に元王者のエリスランディ・ララ相手に3度目の防衛戦を行います。
このララには、KOないしTKOで勝ちたいところ。
チャーメルが2度目の防衛戦を行った同じ日、チャーメルが標的にしているWBAスーパー、IBF正規王者のジャレット・ハードがトラウト相手に10回TKOをおさめているからです。
WBAスーパー王者、IBF正規王者 ジャレット・ハード
現在スーパーウェルター級で最も幅を利かせるジャレット・ハード。
身長185cm、リーチ193cmという恵まれた体格を活かし、現在まで22戦22勝15KOのパーフェクトレコード。70%近いKO率を誇っています。
アマのキャリアはそこまでではなく、32勝8敗の40戦のみ。その選手が花形階級のスーパーウェルターの統一王者になるのだから分からないものです。
2017年、WBC世界ヘビー級のタイトルマッチと同じ日に行われたIBF世界ウェルター級王座決定戦で
ジャレット・ハードはトニー・ハリソン相手に9ラウンドTKO勝ちをおさめます。チャーロ兄弟の兄のジャモールが返上したため空位になっていた王座に就きました。
両者とも当時26歳、体格も互角。左ジャブの交換で始まった一戦は前がかりなハードにハリソンが迎撃するパターンで進行。
3回にハリソンがペースをつかみかけましたが、5回終了間際にはハードがアッパーでぐらつかせるなど、一進一退の攻防が続きます。
ハードは7回、右で攻勢をかけ、8回にも右を連発してハリソンを後退させます。
そして9回、激しい打ち合いからハードの右強打がアゴに直撃。大の字になったハリソンはカウント9で起き上がったが、意識的にマウスピースをこぼすと、レフェリーが試合を止めTKO。
初防衛戦はオースティン・トラウト。次のチャーメルの相手です。この試合で目立ったのは、ハードのフィジカルの強さ。
この2人であれば技巧派といえるトラウトがハードの前進をさばくシーンが序盤は多くなるのかと思われましたが、ハードのプレッシャーをほぼ真っ向から受け止めていました。
それでもハードは一向に止まらず、流血しながらも前進。トラウトも大ぶりの右フックなどいいパンチは当てるのですが、ハードは弁慶のようにその場で動かず仁王立ち。
テクニックではトラウトが上、しかしフィジカルの差がそれを埋めてしまいました。普通あれだけくらっていれば倒れるもの。いくら打っても不気味なくらい後退しません。
こうなると余計に疲労のたまるトラウト。10ラウンドはふらふら状態で完全に劣勢。11ラウンドでトラウトがギブアップし、ハードの防衛成功となりました。
そして次は王座統一戦。ハードはエリスランディ・ララの持つWBAスーパー王座を狙いに行きます。
この戦いでも2人の体格差は歴然。ララの頭がハードの胸くらいの位置です。
ガードはするのですが、軽く打っているようなパンチでも、上から打っているのでララは後退が目立ちます。
打ち方は不格好なのですが、あの高さから放たれるとかなり脅威でしょう。
ポイントはどちらともいえないようなラウンドが最終ラウンドまで続きます。ともに譲らない1戦は最終の12ラウンド動きます。ハードが左のフックを決めてララからダウンを奪います。
パターンとしてはトラウトと同じような感じでした。
最終的にララは力の勝負をしてしまい、疲れがたまってグロッキーになり、そこで強打を打たれ終了。・・
最終のスコアは114-113が2名でハード、114-113が1人ララを支持していました。最後のダウンがなければ、おそらく引き分けだったでしょう。
ララとのリマッチもあるかもしれません。しかし、スーパーウェルター最強を決めたいなら、是非ともジャレット・ハード対ジャーメル・チャーロの1戦が見たいですね。
スーパーウェルター級最強は誰?
ジャレット・ハードの体格はさながらライトヘビー級並です
身長は185cmなんですが身体に厚みがある。映像で見ても、ブライアン・カスターノと同じ身長だとは思えません。迫力が違います。
完全にフィジカルでの押せ押せボクシング。K-1に参戦したばかりでホースとを滅多打ちにしたボブ・サップさながら、というのは言い過ぎでしょうか・・
しかしディフェンスは甘いですね!
ガードも高くないので、トラウト戦、ララ戦とも被弾する場面は多く見受けられました。
サダム・アリだとフィジカルが心配で、カスタードだとテクニックで圧勝できない気がするので、対抗の最右翼はジャーメルでしょう。
この2人は近い将来対戦の可能性大。既にメディアを通して舌戦を繰り広げています。
風貌からいってハードの方がトラッシュトークをしかけそうですが、よく喋るのはチャーメルの方。
フィジカルを如何にパンチのキレでさばくのか、がポイントですね。
そのためにも、ジャーメルの次戦の相手であるトラウトには勝っておきたいところです。ハードは10RTKOでトラウトを下しているので、それ以下のパフォーマンスは出来ませんね。
今のところ、オースティン・トラウト、エリスランディ・ララの2枚看板を僅差ではありますが倒しているジャレット・ハードがこの階級最強に推したいと思います。
あの体格でスピードはそこまで出ないと思うので、もう少しガードを上げてほしい所です。
パンチが出にくくなるというデメリットもありますが、それを凌駕するパンチ力を持っているはずです。
スーパー王者っぽくないボクシングスタイルですが、こういう選手がいると断然マッチメイクは面白くなります。
簡単には負けてほしくない選手ですね。
まとめ
今のところ、この階級で目立っているのはジャーメル・チャーロとジャレット・ハード。既に舌戦も開始しており、2人の統一戦は近いはずです。
力のハードか、技とキレのチャーロかという図式になると思いますが、スーパーウェルターの最強がはっきりわかる1戦です。
これを盛り上げるために、チャーロにトラウトをKOで倒してもらえると嬉しいですね。
スーパーウェルター級はこの2人を軸に注目しておくといいと思います
おわり