各階級王者

【ボクシング】現役限定!スーパーミドル級最強チャンピオンは誰だ!

ミドル級より一つ上のスーパーミドル。

王者にはジョージ・グローブス、タイロン・ツォイゲ、デビッド・ベナビデス、ジェームズ・デゲール、ホセ・ウスカテギ、ヒルベルト・ラミレス。

日本のボクシングファンにとっては、名前は聞いたことはあるけども、試合は見たことないというところでしょうか。

日本にとってスーパーミドルから上は、あまり縁のない階級。

JBCでは2009年より同階級が新設され、田島吉秋、西澤ヨシノリ、清田祐三の3名が王座に挑戦していますが、3人とも王座獲得は成し遂げていません。

可能性のある日本人プロボクサーも、今はいませんね。

未来に期待するとすれば、現中央大学の但馬ミツロ。

2020の東京五輪をアマライトヘビー級で目指すと明言しているので、しばらくプロでは見れないでしょうが、日本国内で注目しておいてほしい選手です。

日本には、正直馴染みないスーパーミドル。

しかしこの階級の「最強」は他よりも分かりやすいかもしれません。現在、World Boxing Super Series(WBSS)トーナメントが開催されており、7月には決勝が行われる予定です。

それではこの階級の王者たちをチェックし、誰が最強か見ていきましょう

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WBA正規王者タイロン・ツォイゲ

この選手はドイツの選手です。ドイツなど西欧系は中重量級に多く、ドイツの軽量級ボクサーってあまり聞かないですね。

26歳のタイロン・ツォイゲ、彼がWBAの正規に就いています。

現在23戦22勝12KO1分け。少しKO率がスーパーミドルにしては寂しいですが、相手が打ってくるのを待つカウンター型の選手ですね。

といっても手数がないというわけではありません。最新のアイザック・エクポ戦を見ると、右が多く当たっており、フィニッシュブローも大ぶり気味の右。

2016年に王座を取り、現在4度の防衛に成功中です。

デビューから全ての試合をドイツで行っているので、余程のパフォーマンスでもしない限り、有名選手とはならないでしょう。

尚、次戦はWBAスーパー王座決定戦に勝ったジョージ・グローブスとの戦いが予想されます。

彼にとっては、間違いないくキャリアハイの試合になってきます。

 

WBAスーパー王者ジョージ・グローブス

今ボクシングが最も熱い国の一つ、イギリスのボクサー。IBFに君臨するジェームス・デゲールもイギリスです。やはりこの階級は西欧系に有利か。

ジョージ・グローブスという名前はよく聞くので、華麗なキャリアを持っているのかなという先入観があったのですが、意外に苦労人。4度目の世界戦でやっとチャンピオンになります。

しかも、いきなりスーパーチャンピオン。完全に名前負けのような感がありますが、WBSSの決勝までいっていることを鑑みて良しとしましょう。

4度目の正直は、当時同級1位だったフェドール・チュディノフ相手でした。この試合を見ると、勝負所で目いっぱい力を使って湧かせる選手です。

最新の試合はWBSS準決勝のクリス・ユーバンク・ジュニア戦。強引にしかけるユーバンクに対し、グローブスは若干中途半端なアウトボクシングを展開。

ユーバンクの突進もただの突進で、スキルフルなものとはいえませんでしたが、それを裁けるアウトボックスの能力がグローブスには欲しいところです。

ジャッジ3名がグローブスと同郷のイギリス人であったことが影響されたとは思いたくないですが、判定は3-0でグローブス勝利。

1人くらいエンバンクにつけるジャッジがいても良さそうな試合内容でした。

打撃戦を好み、打ち下ろしの右や左フックが魅力的な選手ですが、ガードが低めなのが玉にきず。

カール・フロッチが当時持っていた王座に2度挑戦していますが敗れてしまったのも、ガードの甘さが仇となり、逆転負けをしてしまっています。

次戦は7月14日にカラム・スミスとの1戦です。これに勝てばスーパーミドルのWBSS優勝となり、強さのランクはさらに上がるでしょう。

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 WBC正規王者デビッド・ベナビデス

メキシコ系アメリカ人ボクサー、デビッド・ベナビデスは、2017年からWBC正規王者となっています。

スウェーデンのバドゥ・ジャックの階級変更に伴い、2017年9月に空位となったWBC同級王座をロナルド・ガブリエルと争いました。

王座決定戦です。ベナビデスは、これにスプリットディシションで勝利しています。

初防衛戦はダイレクトリマッチとなりました。しかし再戦はベナビデスの圧勝。一人はフルマークをつけています。

特にガブリエルをぐらつかせたアッパーはナイスでした。他の試合を見ても、ベナビデスは左フックからコンビネーションをスタートさせるパターンが多いです。

綺麗なのは左ボディ!あの長身からボディに振り落とされたらたまったものじゃないですね。まだ21歳と若く、映像を見る限りでは長期政権の可能性もあるかな、というところ。

この選手もWBSS出ていないんですね、そうすると、トーナメントの最強の意味合いも薄れてきちゃうような気が。。

 

 IBF世界王者ジェームズ・デゲール

イギリス出身のボクサーで、スーパーミドルの王座に2度輝いています。初めてのタイトルは同じIBFで2015年から2017年迄、返り咲きは2018年4月からとつい最近。

アマチュア経歴も素晴らしく、2008年北京五輪ではなんと金メダルを獲得!

金メダリストが世界王者になったのは、イギリス人では彼が初めてらしいです。意外に出てなかったんですね。

しかし金メダリストの割には戦績は27戦24勝14KO2敗と、パーフェクトではありません。これでも十分凄いんですが、他金メダリストと比べるとどうしても見劣りしてしまいます。

初の戴冠は2015年の対アンドレ・ディレル戦。

カールフロッチが返上した空位の王座を狙う王座決定戦です。サウスポー同士の1戦。デゲールはスイッチも随所に見せ、序盤は完全にディレルのラウンドでしたが、後半盛り返されてきます。

しかもこの時は回を追う事に露骨にペースダウンしていきクリンチが目立ちました。

しかし、ディレルも盛り返せず、デゲールの判定勝ち。イギリス人金メダリストが初めて世界王者になった瞬間でした。

初防衛戦のブーテ戦は結構盛り上がりました。サウスポー対決で試合は終始アグレッシブ。

結果は判定となりましたが、両者には12ラウンドのゴングと同時にスタンディングオーベーションが送られています。117-111が2者、116-112が1者でデゲール。

これでアメリカ、カナダとアウェイでの連続勝利を飾ったデゲールは、試合後ラスベガスでのバドゥ・ジャックとの統一戦を要求。

ロザリオ・メディナとの1戦を挟み、ニューヨーク・バークレイズセンターでの開催にこぎつけます。

バドゥ・ジャックはメイウェザーがプロモートする期待の選手。ディレル対ジャックは、IBF、WBC、リングマガジン認定のベルトがかけられた統一戦です。

観客大興奮の試合でした。初回からデゲールの左ストレートでジャックがダウン。

空手の追突きみたいに、左足と左拳を同時に打つようなパンチで奪います。確かにあれでは見えなさそうですが、あまり効かなそうなので、フラッシュダウンですね。

後半に入るにつれて、デゲールの運動量がガクンと落ち、マウスピースも吐き出すなど、流れはジャックに傾きます。

最終回は左フックと右アッパーのコンビネーションでディレルがバランスを崩すように後方にダウン。

これもさほど効いていなかったのか、ジャックは倒しきれず終了のゴングを聞きます。

結果はドロー。お互い不満そうで、再戦かなと思いましたが、ジャックはこれを最後にライトヘビーへ転向となり、いまだ実現はしていません。

デゲールはロンドンで再戦したいみたいですね。ちなみにこの試合で鼓膜が破れ、歯も取れたとの事。

ドローなので、お互い保有しているタイトルの移動はありません。

しかし、次戦でデゲールはIBF王座を失ってしまいます。

相手はしかも同級15位の同郷キャレブ・トゥルーアックス。バドゥ・ジャック戦からの復帰戦という意味合いでとられていたこの試合ですが

イギリス人同士のジャイアント・キリングが行われました。

しかもデゲールにとっては、王座を獲得して以来初めてのイギリス凱旋試合。

「故郷で誰がスーパーミドルのベストファイターなのかをはっきりさせる」と意気込んでいたデゲールでしたが

試合はロープを背負う場面が多く、5ラウンドにはトゥルーアックスの右アッパー、レフトフックのコンビネーションで大きくぐらつきます。

トゥルーアックスはデゲールの事をよく研究していたようで、対バドゥ・ジャック戦のVTRから、デゲールはプレッシャーに弱いと判断し、終始前進してパンチを放つよう意識していたそうです。

確かに、前回の試合で鼓膜などをやられていたら、15位でもそのプレッシャーは恐ろしい。

アッパーカットでデゲールの顎が上るシーンが目立ち、3-0のマジョリティでトゥルーアックスの判定勝ち。しかし4か月後の2018年4月にすぐリマッチが組まれます。

さすがアル・ヘイモン。彼はデゲール側のプロモーターです。

「負けたら引退」の覚悟で臨んだデゲール。両者共に目の上をカットする激戦を見せ、結果は114-113が2名、117-110が1名の3-0で、今度はデゲールが勝利を掴みました。

王座返り咲きです。

トゥルーアックスは両目上をカットしてしまうアクシデントに見舞われ、的中率が下がってしまいましたね。

32歳のデゲールでしたが、なんとか王座を奪い返しました。

また、デゲールのカットマンは優秀です。デゲールのカットは珍しくないですが、その多くの場面で止血能力が高いと評価されているとの事でした。陣営に恵まれていますね。

 

IBF暫定王者ホセ・ウスカテギ

2018年3月からと、こちらもニューカマーの王者です。べネぜエラ出身のホセ・ウスカテギが現在IBFの暫定王者についています。

身長188cm、リーチ194cmと恵まれた体格を活かし、KO率も高いですね。現在まで29戦27勝23KO2敗。この選手は対アンドレ・ディレルの2連戦で有名です。

試合が特段素晴らしかった、ということではありません。

2017年5月に行われたアンドレ・ディレルとのIBF同級王座決定戦、8回終了を告げるゴングの明らかに後、ウスカテギがパンチを出してしまい、ディレルがダウンをします。

主審はこれを重く見てディレルの反則勝ちとし、ウスカテギも陳謝していました。本人にも悪気はなかったのでしょう、ゴングがなっても流れでついつい手が出てしまうことはよくあります。

8回までの採点だと、ウスカテギが僅差でリードだったので、もったいなかったですね。

しかし問題はここからです。ディレルのトレーナーが、ウスカテギに左フックを見舞ってしまうのです。

これはYOUTUBEでもかなりアップされているので、ご興味あれば見てください。ウスカテギ陣営も反則をしているとはいえこれには激怒。訴訟問題にまでなりました。

ウスカテギ側は、これ幸いと見たのか、反則負けに関しても不服を訴えますが、これはさすがに却下されます。

こうなれば再戦が一番の解決方法。2018年3月、バークレイズセンターで2人は再度対峙します。

ディレルはこの試合から名トレーナーのバージル・ハンターに師事を仰いでいたようですが、今回ばかりはウスカテギのパワーあるボディと左フック系にやられました。

打ち合いもウスカテギが優勢。半ばサンドバッグ状態のディレルは8回で棄権。今回は何もなく、ウスカテギが暫定ではありますが、念願の王座を手に入れました。

IBFは暫定をあまり作らないので、デゲールとの統一戦は割と早めに行われる気がします。このクラスにべネぜエラ人がいるのは珍しいので、是非頑張ってもらいたいです。

 

WBO王者ヒルベルト・ラミレス

メキシコ人初のスーパーミドル級王者、ヒルベルト・ラミレスです。

サウルアルバレスのカネロプロモーションとトップランクにプロモートされてい選手。

試合の映像を見る限り、この選手がスーパーミドルで最もスタイリッシュで完成されたボクサー。

初の戴冠は2016年4月で、当時王者だったベテランファイター、アルツール・アブラハムに挑戦し、3-0の判定勝を治めています。3者ともに120-108の完封勝利です。

この時獲った王座を2018年現在も守り続けています。

次のハイライトは無敗対決であった対ジェシー・ハート戦。

前半はラミレス、後半はハートのラウンドが多かったですが、左アッパーでダウンを奪い、上下へのコンビネーション、ボディ攻撃を利かせていたラミレスに軍配があがりました。

ラミレスも結構もらっていたんですが、動じず打たれず良さを証明できましたね。

最新の試合は対ハビブ・アメド。

体格差を活かした戦いができたラミレスは終始アメドを圧倒。ダウンこそ奪うことはできませんでしたが、アメドは逃げることしかできないワンサイドゲームです。

6回で陣営がギブアップを申し出、ラミレスは4回目の防衛戦を成功させます。

戦績は37戦37勝25KOとパーフェクトレコードで、KO率もまずまずですね。2年の防衛を成功させているので、そろそろ誰もが認めるビッグマッチが欲しいところです。

 

 スーパーミドル級最強は誰?

王座が乱立する中、「最強」を決めるよい方法として、冒頭で書いたWBSSが注目を集めています。WBSS第一回はクルーザー級と、このスーパーミドル級が行われました。

これでスーパーミドル最強が分かりやすくなった、というかと言われれば、疑問符が付きます。

というのも、スーパーミドルに参戦した選手で現在のタイトルホルダーはジョージ・グローブスだけなんですよね。

ユーバンクジュニア、カラム・スミスなど、ある程度名前のあるボクサーも参加していますが、もう少しタイトルホルダーの参戦が欲しかったです。

さながら「新人王決定戦」と揶揄する記者もいます。

私は現王者の中で、最強はヒルベルト・ラミレスだと思います。他王者と比べて、穴が少ない。

前述のとおりスーパーミドル級で最も完成されたスタイルを持ち、無敗でもあることから、ジョージ・グローブスよりも上にいると考えます。

ジョージ・グローブスとカラム・スミスのWBSSスーパーミドル決勝には、スーパー王座らしくグローブスに勝って頂いて、その後各王者との統一戦等してもらいたいです。

グローブスも3敗しているなどムラがありますし、スタイル、戦績、そして若さからして、ヒルベルト・ラミレスをスーパーミドル最強にしたいと思います。

 

まとめ

WBSSは、スーパーミドル最強決定戦では決してありません。

ここでジョージ・グローブスが優勝したところで、他出場選手が名前のある選手ばかりという事ではないので、やはりスーパー王者は強かった、という意味合いにしかならないでしょう。

最強は今のところ最も完成されたヒルベルト・ラミレス。王者6人は少し多すぎるので、早く統一戦の開催が望まれます。

おわり

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