
今でこそ「PFP(パウンド・フォー・パウンド)キング」として世界に君臨し、スーパーバンタム級で4団体統一を果たした井上尚弥選手。しかし、世界中のボクシングファンがその実力に戦慄し、真の意味で彼を「発見(Discovered)」したのはいつだったでしょうか?
多くのファンが挙げるのが、2018年5月25日に行われたジェイミー・マクドネル戦です。
10年間無敗を誇った英国の王者が、わずか112秒でマットに沈んだあの瞬間。「モンスター」の異名が、単なるニックネームから「現実の恐怖」へと変わりました。
この記事では、バンタム級転向初戦にして世界を震撼させた伝説の112秒に対する当時の「海外の反応」を振り返りながら、なぜ彼が「マイク・タイソンの再来」と評されたのか、その真価を2025年の視点から紐解きます。
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井上尚弥 vs マクドネル:衝撃の112秒を振り返る
10年間無敗の王者を粉砕した「バンタム級初戦」
当時、井上尚弥選手はスーパーフライ級での減量苦から解放され、満を持してバンタム級へ転級しました。
しかし、その初戦の相手はいきなりの世界王者ジェイミー・マクドネル(イギリス)。
- 10年間無敗の安定王者
- 身長差などのフレーム差が圧倒的(マクドネルはバンタム級としては規格外の長身)
- 井上にとっては「テストマッチ無し」のぶっつけ本番
戦前、海外の一部では「さすがのイノウエも、体格差と経験に苦しむのでは?」という声もありました。しかし、蓋を開けてみれば結果は1ラウンド1分52秒(112秒)でのTKO勝利。
試合開始直後から、体格差を全く感じさせないプレッシャーでマクドネルを圧倒し、最初のダウンを奪うと、立ち上がった王者に容赦ない連打を浴びせ、レフェリーストップを呼び込みました。
「早送りを見ているようだ」理不尽なまでの強さ
この試合で特筆すべきは、フィニッシュに至るまでのスピードと破壊力です。
左ボディで動きを止め、そこから脳を揺らすようなフックの連打。マクドネルは何もさせてもらえないまま、自身の王座と10年間の無敗記録を粉砕されました。
この試合は、後に続くWBSS(ワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ)優勝、そして4団体統一への「モンスター伝説のプロローグ」として、ボクシング史に刻まれることになります。
【海外の反応】世界メディアはどう報じたか?
試合直後、Twitter(現X)や海外ボクシングメディアは騒然となりました。当時の主な反応をまとめて振り返ります。
米国・英国主要メディアの評価
「ボクシング界で最もエキサイティングな選手だ」
(米・リング誌)
ボクシングの聖書と言われるリング誌は、即座に井上尚弥のパフォーマンスを称賛。軽量級の記事がこれほど大きく取り上げられること自体が異例でした。
「破壊的なパワー。彼は地球上で最もパンチのあるボクサーの一人かもしれない」
(Boxing Scene)
米国の主要ボクシングサイトも、そのパワーに脱帽。特に「バンタム級に上げたことでパワーが増している」という事実に、多くの専門家が恐怖すら覚えました。
「マクドネルは蒸発させられた」
(英・BBC Sport)
母国の王者が敗れたイギリスメディアの反応は、ショックそのもの。「何もできなかった」「竜巻に巻き込まれたようだ」といった表現が並びました。
海外ファンの声(SNS・YouTube)
当時のコメント欄やSNSには、英語圏のファンから興奮の声が殺到しました。
- 「早送りを見ているのかと思った。ハンドスピードが異常だ」
- 「マクドネルが巨大に見えたのに、イノウエの前では子供扱いだった」
- 「ボディショットの音が会場中に響いていた。あれは人間の音じゃない」
- 「この日から俺はイノウエの信者(Believer)になったよ」
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なぜ「マイク・タイソンの再来」と言われたのか?

この試合後、海外のプロモーターや解説者の間で頻繁に使われたフレーズが「彼はリトル・マイク・タイソンだ」というものでした。
軽量級の選手がヘビー級のレジェンドに例えられるのは異例中の異例です。なぜそう呼ばれたのでしょうか?
1. 「倒す」のではなく「破壊する」スタイル
当時のマクドネル戦で見せたのは、テクニックでポイントを稼ぐボクシングではなく、「ガードの上からでも相手を効かせる」理不尽なパワーでした。
相手が防御していてもお構いなしになぎ倒す姿が、全盛期のタイソンと重なったのです。
2. 開始ゴングと同時に漂う「殺気」
マイク・タイソンの魅力の一つに「試合開始直後の緊張感」があります。
井上尚弥選手も同様に、ゴングが鳴った瞬間からトップギアで相手に襲いかかりました。「瞬き厳禁」の緊張感を醸し出すオーラが、共通点として挙げられました。
3. ステップインの鋭さ
マクドネル戦で見せた、踏み込み(ステップイン)の速さは人間離れしていました。
タイソンがピーカブースタイルから一瞬で懐に入るように、井上選手も長身のマクドネルの懐へ瞬時に侵入し、致命打を放ちました。
2025年の視点:マクドネル戦が変えた「世界」
いま振り返ると、2018年のマクドネル戦は、井上尚弥選手にとっても、ボクシング界にとっても大きなターニングポイントでした。
WBSS優勝〜4団体統一への布石
この衝撃的なKO劇があったからこそ、続くWBSS(ワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ)での注目度が爆発的に跳ね上がりました。
「バンタム級のイノウエはヤバい」という認識が世界中で共有され、その後のドネア戦やバトラー戦での4団体統一ロードへと繋がっていったのです。
「適正階級」の恐ろしさを証明
スーパーフライ級時代、減量苦から本来のパフォーマンスを発揮しきれていない場面もありました。
しかし、バンタム級に上げたこの初戦で、「水を得た魚」ならぬ「鎖を解かれたモンスター」と化したことを証明。
「階級を上げればパワーが通用しなくなる」というボクシング界の常識を覆した瞬間でもありました。
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まとめ:伝説はここから始まった
井上尚弥 vs ジェイミー・マクドネル。
わずか112秒の出来事でしたが、そのインパクトは数年経った今でも色褪せることがありません。
海外のファンやメディアが「モンスター」の虜になり、「タイソンの再来」と熱狂したあの日。
井上尚弥選手のキャリアを語る上で、絶対に外すことのできない「伝説の幕開け」と言えるでしょう。
今後、彼がさらに階級を上げ、新たな伝説を作っていく中で、私たちは何度もこの日の112秒を思い出すことになるはずです。

