井上尚弥。高校生で初のアマチュア7冠を達成し、2012年にプロデビュー後、日本最速となる16戦目での3階級制覇を達成。オマール・ナルバエス、ジェイミー・マクドネルなど決して弱くない相手に対して圧倒的勝利を続けています。
そして10月にはバンダム級最強トーナメント、WBSSへ出場。今、日本のみならず、世界から最も注目されている「パウンドフォーパウンド」ボクサーの一人です。
では、そのボクサー井上尚弥を形作っているトレーニングメニューにスポットを当ててみたいと思います。
自宅の離れでのトレーニング
井上選手にボクシングを仕込んだのは、父の慎吾さん。アマチュアで2戦、プロでの経験はありませんが、ここまで育て上げた手腕は日本のトップトレーナーと言っていいでしょう。
アマ時代から、自宅で井上選手が様々なトレーニングをつめるように考えてきました。その点では、亀田三兄弟の父、亀田 史郎氏にも似ていますね。
まず綱のぼり。これはレスリングでのトレーニングでよくみられるのですが、腕力はもちろん体がぶれてはのぼれないので、体幹のトレーニングにもなります。井上選手の実家のベランダから縄をたらし、毎朝上り下りを繰り返しています。
次に、車押し。慎吾トレーナーが乗る2トンの車を押すトレーニング。弟の拓真選手と、どこまで押し続けることが出来るのか、兄弟で競わせるみたいです。たまに慎吾トレーナーがブレーキをかけて負荷をかけてあげるとの事。これが腕力はもちろん、脚力、そして体幹の強化につながります。
ボクシングファンならずとも、強いと分かる井上選手ですが、意外にも突出した身体能力は持っていないそうです。足が特別速いというわけでもなく、握力なども人並みか、ひいてはそれ以下。
しかし、体幹だけは抜群に強いようで、あの強烈なパンチは体の中心から出ているんですね。
完全にボクサーに特化した体作りを、小さいころからしてきたいのだと思います。現在は家庭も持ち、トレーニングはジム中心、フィジカルは日々のロードワークはもちろん、合宿等行い鍛えているようです。
チャンプになってからのトレーニング
よく行っているのが熱海合宿ですね。WBSSに向けても、熱海で合宿を行い、フィジカル強化を狙っています。弟の拓真選手と、いとこの井上浩樹選手とともに、砂浜ダッシュや階段ダッシュを繰り返しています。
合宿中の詳細が少し出ています。まず午前中に砂浜ダッシュ。何メートルを何本かは分かりませんが、砂浜は足が沈んでいくので、通常のダッシュより数倍きついです。
そして午後。さらに下半身をいじめます。合計114段からなる階段を、様々なメニューで駆け上がります。
30段のダッシュを4本。68段を4本。114段を5本。次に、手押し車で30段を10本、空気椅子30秒から30段のダッシュを5本、両足でジャンプして68段を5本、馬跳び20回から114段のダッシュを3本こなしています。
そして、これに加えて300mの上り坂をダッシュ3本。このような下半身強化には、スタミナアップももちろんですが、蹴り足の力がアップするので、パンチ力も上がってきます。ボクシングのリング上でのスタミナと、走るスタミナは重なるところがありますが、完全に一致しているわけでもありません。
リング上でのスタミナは、やはりジムワークで磨かれます。この階段の意味は、脚力と瞬発力、インナーマッスルの強化ですね。
井上自身も、下半身強化で様々な角度からパンチが打てるようになっている、今まで以上にパンチが乗ると思うと、言及しています。
あと行っているのは、最近よく見るロープトレーニング。綱引きの縄を想像してもらえば分かりやすいのですが、両手に縄を持ち、上下左右に振るトレーニングです。
バトルロープといいます。最新のジムには結構置いてありますよ。見た目簡単そうなのですが、きついです。腕だけではなく、全身の筋肉を使用するので、体全体のパワーアップにはもってこいですね。
さらに、パンチ力強化に効果があると言われているハンマートレーニングをしている映像もあります。映画ロッキーで、ロッキーが大木に斧を打ち付けているシーンを見たことがある人もいると思いますが、あれと同じ原理です。
ちなみに、パッキャオ戦の前のメイウェザーも行っていましたし、元2階級王者の畑山隆則氏も行っていました。
正直そこまで辛くはないと個人的には思うのですが⁉、ヒッティングマッスルと言われる背中の筋肉が鍛えられるそうです。
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まとめ
普段のジムワークはもちろんの事、フィジカルを中心としたトレーニングも、今の井上選手を形作った重要な要素です。
身体を個別に鍛えるというよりも、体全体のトレーニングが多いですね。例えば、腕立てなどをしているシーンは今まで見たことがありません。
やはりフォーカスしているのは体幹。ブレない身体を作る。これに気づいて幼少から鍛えていた慎吾トレーナーは、やはり名トレーナーなのだと強く思います。
おわり
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