アメリカに進出する日本人ボクサー、最近増えてきていますね。ビッグアップセットを成し遂げた伊藤雅雪、トップランクとの契約が決まった角海老の岡田博喜。これからの活躍に期待大です。
既に海外の評価も高く、PFPランカーの井上尚弥ももちろん外せません。そして、最近現役復帰を発表した井岡一翔。
4階級制覇をめざし、アメリカでスーパーフライ級戦線を戦います。バンダムで戦う井上尚弥と、スーパーフライに戦線を移す井岡一翔。もしかしたら。。と考えてしまいます。
本日は、現役復帰を表明した井岡一翔と井上尚弥、どちらが強いのかという事にスポットを当てていきたいと思います。
井岡一翔VS井上尚弥 アマチュア時の実績は?
既に2人共プロになってかなりの年月がたっているので、アマ時代の成績を比べるのもどうかなと思いますが、参考までに。
井岡一翔はアマチュア6冠、井上はアマ7冠です。問題はその「冠」の内容。井岡はインターハイ2度、国体優勝2度し、選抜大会2度という成績です。
井上尚弥はインターハイ2度、国体2度、選抜、全日本アマ選手権2度を制覇しての7冠です。
差は1冠だけなので、アマ成績はそこまで変わらないだろうと言うのは違います。最近何かと話題のアマチュアボクシング界ですが、注目は井上尚弥の全日本アマチュアボクシング選手権大会2度制覇という実績。
この大会は、全てのアマチュアボクサーが参戦してくる大会です。これを2連覇。しかも高校時です。
井岡一翔の6冠は、もちろんとてつもなく凄いです。しかし井上と比べると少し色あせる。井岡が獲っているのは、高校生のみが出場できる大会なのです。全日本アマチュアボクシング選手権大会は獲っていません。
井上は、高校生では初となった、アマ7冠を達成しており、その中に全日本アマチュアボクシング選手権大会2度制覇が含まれるのが凄い所です。
何年も前のアマ実績ですが、これだけを見るならば、井上の方が強いと言ってもいいでしょう。
井岡一翔VS井上尚弥 プロでの実績を絡めた2人の比較
井岡一翔
井岡一翔はフライ級で3階級目。アムナット・ルエンロエンに老獪なテクに翻弄されて、体重が合っていないのかなと思いきや、その後ファン・カルロス・レベコからフライ級王座を奪取し、防衛は5度。
ライトフライ、フライを制したレベコに2度勝っています。井岡は強い相手から逃げているというネット上での声もありますが、決してそんなことはないでしょう。
ただ、技巧派タイプへの評価は必然的にパワー型と比べ低くなってしまう事、ロマゴンと戦わなかった事が相まって低評価が多いですが、テクニック的には井上と遜色ないはずです。
ずば抜けたパンチ力こそありませんが、自分への被弾をなくし、逆に対戦相手をジワジワ削る作業は名人芸。特に削ってのボディブローは秀逸。
初の戴冠となった対オ―レイドン・シスサマーチャイは5回の左ボディで2度沈め、フライ級でのレベコ戦でも同様にボディ。引退の2戦前のスタンプ・キャット二ワットはボディで戻してしまう程。
井岡のオフェンスを形容するなら、まさに針の穴を通すパンチ。そしてその後のバックステップで相手の空間からの離脱も素早いです。ゆえに、バックステップしてのストレート、フックのコンビネーションも随所に決まるシーンが多いですね。
井上尚弥
井上尚弥も同様に3階級制覇王者。ライトフライ、スーパーフライ、バンダムの3つです。井岡と重なるライトフライの試合は初の戴冠となったアドリアン・エルナンデス戦と、初防衛戦のサマートレック・ゴーキャットジムの2戦のみ。
ライトフライでの2戦は、相手との戦いというよりも自分との勝負。かなり減量がきつく、エルナンデス戦では足をつるアクシデントに見舞われました。今のパフォーマンスを見る限り、少なくともライトフライは適正階級ではないですね・・
王者の責任として1度防衛はするものの、その後2階級上げてスーパーフライへ転向。現在の井岡一翔のいる階級ですね。
このスーパーフライではオマール・ナルバエス戦で圧倒的力を誇示し勝利したものの、その後は怪我に泣かされ、特にデビッド・カルモナ戦では左右の拳に加え、腰にも痛みがはしっていたとの事。
それでも判定勝ちするんですから、とんでもないボクシングセンスですね。
パンチの質は井岡と違い、力でなぎ倒すという印象が強いです。相手のガードの隙を付く事ももちろん出来るのでしょうが、それをせずとも相手が倒れると証明されたのが、この前のマクドネル戦。
かすった左フック、本人はゴロフキンパンチと言っていましたが、それだけでマクドネルはよろめいていました。
それとフットワークも華麗です。直線的に前後だけでなく左右にも動けるので(サイドステップ)
サイドステップができるボクサーは、そんなにいないですね。その頂点がパウンドフォーパウンド1位の「ワシル・ロマチェンコ」
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日本人でしたら、井上尚弥と田中恒成でしょうかね。
井岡一翔と井上尚弥はどっちが強い?
井上尚弥は距離感覚に対しても独自の世界観を持っており、常に自分のジャブが届くか届かないかの距離で戦うよう意識しているとの事。
この意識付けは、田中恒成なども絶賛しているらしく、井上尚弥のハイレベルなリングパフォーマンスの一つの要因だと考えられます。
井上尚弥と井岡一翔を比べた時、同じくらいのレベルにあるのは
- 距離感
- ディフェンス
- パンチの当て勘
- スピードですかね。
一番違うのは・・
- パワー感!
- 察知能力
井上尚弥の察知能力は、相手と対峙してから30秒もあればわかると言います。この選手はこの能力と。1ラウンドもすればもう相手の攻撃を見切ることができると。これはすごいアドバンテージですよ!
ロマチェンコでさえ相手の攻撃を完全インプットするのは数ラウンドかかるのだから・・井上尚弥恐るべし。
またパワー感も断然井上尚弥の方があります。しかし、それが見られたのはスーパーフライに上げてから。
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ですので、この2人を比べる場合は設定階級が問題になってきます。
適正体重の関係で、ライトフライであるならば井岡の勝率の方が高いかもしれません。
井岡一翔は八重樫とも打ち勝っていますし、ダウン経験はありません。あまり印象にはないと思いますが、打たれ強いタイプなのかなと思います。
ライトフライでパワーは井上尚弥が上でも、それを理詰めで解決できそうな気がします。
では、井岡が上げたばかりのスーパーフライだとどうなるか?これは次戦の井岡のパフォーマンス如何にもよりますが、60:40で井上尚弥有利です。ライトフライからスーパーフライに上げたときの井上は、減量苦から若干の開放をうけ、スピード、パワー共に増大しました。
ナルバエス戦で見せたのがそれです。
今度の井岡がアローヨ相手にどう戦うか。井岡のパフォーマンスがよかったのは、ライトフライだったかなという印象もあるので、この階級ではパワーの目減りが目立ってしまうのかなというのが私の予想です。
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フライ級以降で戦えば戦う程、井上の勝率が高まるでしょう。
まとめ
共にアマチュアエリートの2人。プロデビューからの初王座奪還も早く、似たようなボクシングロードを歩んで行っている2人です。
主戦場をライトフライに置いていたことが重なりますが、2人の適正体重が違うので、比較も難しいですね。私は、ライトフライ以下なら井岡、スーパーフライ以上であれば井上だと予想します。
井上はバンダムでWBSS出場、井岡は「Super Fly3」に参戦。ともにその階級の最強に向かおうとしています。
1階級差ではあるので、今後2人の対戦をリアルに望む声も上がってくるかもしれません。
井岡一翔VS井上尚弥の日本人対決が観れたら楽しみですね!
おわり
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