井上尚弥

井上尚弥とリカルドロペスが対戦したらどっちが強い?特徴は似てる?

ボクシングファンにとって、夢の対決というのは数々あります。過去も含め最強と言われる二人が、もし戦ったら、一体どちらが強いのか。

多くかわされてきた議論のテーマです。

例えばマイク・タイソン対モハメド・アリ、最近だとメイウェザー対ゴロフキンなども挙げられます。

スペイン語で「Finto」(上質な)と呼ばれたメキシコの英雄リカルド・ロペスと、日本が生んだモンスター井上尚弥の対決も、その範囲に入るでしょう。

では、そのリカルド・ロペスと井上尚弥が戦ったらどちらが強いのか、その特徴は似ているのかなども見ていきたいと思います。

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井上尚弥とリカルド・ロペスが対戦したらどっちが強い?

 

非常に難しい問いです。

上述のマイク・タイソン対モハメド・アリ、メイウェザー対ゴロフキンは体重が略同じなので比較の対象にしやすいですが

リカルド・ロペスはミニマムが主戦場で、ライトフライは3戦のみ。

井上もライトフライで試合をしていましたが、それも最初の7戦まで。

その強さはスーパーフライでより顕著にみられ、今度のバンダムではさらなるパワーアップが期待されます。

ですので、この二人が対戦したらという問いに関しては

重なっているライトフライでの戦いならロペス選手、体重を同じとしてパウンドフォーパウンド的に考えるなら井上選手に軍配を上げたいと思います。

その理由を述べていきたいと思います。

同じ時間軸での考察

井上尚弥は、現在15戦して15勝利、うち13勝をKO又はTKOで終わらせています。

15戦して、ライトフライ、スーパーフライの王座を獲得し、今は返上しましたがWBOスーパーフライのベルトは7度防衛をしました。

2012年のデビューから約5年の出来事です。

では、単純比較はもちろんできませんが、リカルド・ロペスのデビューから15戦目までと、デビュー5年後の状況を見比べます

リカルド・ロペスは1985年1月18日にデビューを飾ります。やはりキャリア初期は試合間隔が非常に短いですね。

1月18日にデビュー戦を行い、6戦目までは略一か月刻み。15戦目までに有した時間は約3年、現代ボクシングから考えれば非常に速いペースです。

今もそうなのですが、メキシコ人ボクサーは試合を「最高の練習」と捉え、デビュー間もないころはなるべく場数を踏ませるそうです。

あのサウル”カネロ”アルバレスも試合数は多いです(27歳で52戦)

1985年頃はとくにそうだったのでしょう。

それでは、デビューから5年後のロペスはどのような位置にいたか見てみましょう

ロペスはデビュー5年後の1990年、あの有名な対大橋秀行戦を行います。

大橋にとっては2度目の防衛戦でしたが、ロペスに計3度のダウンを喫し、TKO負け。

リカルドロペスはそこから11年間にわたってチャンピオンの座に居座ります。

しかし、同じ時間軸で見ると井上は既に2階級を制覇し王座を7度防衛。

もちろん、これだけでロペス対井上の試合結果を論ずることは出来ませんが、様々な比較対象の一つとして書かせて頂きました。

同じ試合数、時間軸で計算した時のバロメーターでは、明らかに井上の方が上にいるようです。

対戦相手の質

ロペスの対戦相手を見ると、15戦までに特段目立った名前はありません。獲得タイトルもなし。

しかし、全キャリア52戦までとなると話は違います。

元WBC/IBFのライトフライ級王者のサマン・ソーチャトロン、元WBOミニマム級王者のアレックス・サンチェス

2度の激闘を繰り広げたロサンド・アルバレス、アメリカ軽量級屈指の技巧派ボクサーでIBFライトフライ級王者を2度獲得したウィル・グリッグスピー、

IBFミニマム級を18度も防衛したラタナポン・ソーウォラピン、そして同じくIBFミニマム級王座を5度防衛したゾラニ・ペテロ。

そこまでのビッグネームはありませんが、ロサンド・アルバレスとの引き分けはあるものの、数回防衛経験のあるチャンピオンも含め、全て下しています。

しかし、井上の方も負けてはいません。

今までの全15勝の中には、現在もWBA,IBFライトフライ級統一王者の一角を担う田口良一、スーパーフライ級11度防衛、

対戦当時スーパーフライ級現役最強と言われたオマール・ナルバエス、同じくスーパーフライ級王者であった河野公平がいます。

特にナルバエス戦で見せたパンチの威力はすさまじかった。

あのノニト・ドネアでも判定までいったナルバエスからキャリア初のダウン。

試合後、グローブに何か仕込んでいるのではないかというナルバエス陣営からのクレームもあったようです。しかも、ドネアよりも数段強かったと、試合後の会見で話しました。

世界タイトルマッチは、デビッド・カルモナを除き全てKOあるいはTKO防衛。

しかもそのカルモナ戦では途中左右の両拳を負傷しての大差判定勝ちでした。

他の記事でも書きましたが、リカルド・ロペスが52戦51勝1分という偉大な記録を残したにも関わらず、海外での評価はそこまで飛び抜けたものではありません。

まず、同じ時代に、しかも同じ国にフリオ・セサル・チャベスという英雄がいたこと、

そして何よりライバルの不在でした。強すぎた故の代償なのか、ロペスのライバルになりえるボクサーは現れませんでした。

井上はそのライバルを求め、バンダムに階級を上げ、海外に目を向けています。

次戦のジェイミー・マクドネルを皮切りに、ライアン・バーネット、ゾラニ・テテというビッグネーム、そして「問題児」のルイスネリ

井上の評価を上げる材料が、これでもかというくらいに揃っています。

まだ井上の今後は分かりませんが、これからの事も考慮に入れ、戦ってきた対戦相手の質はロペス、井上イーブンということにしておきましょう。

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特徴は似てる?

 

では、実績等ではなくファイトスタイルから見ていきます。両者のスタイルはどちらも正統派のオーソドックスで、特段トリッキーなところもありません。

ただ細かい点で見ていくと違いもあり、それが勝敗に関係していくと思うので、探ってみたいと思います。

二人を比べると、リカルド・ロペスの方は完全なオーソドックススタイル。基本に忠実なその構えから繰り出される正確無比なジャブは「見えない拳」と称されました。

そして大砲の様に伸びていくストレート。肩関節が柔らかいのは、サンドバッグ打ちの映像を見ても分かります。

今メジャーで活躍している大谷翔平選手も肩の関節が異常に柔らかいですね。肩関節の柔らかさは、腕から生まれる力に比例するようです。

そしてなんといっても左アッパーからの左フック。これで多くの選手が打ち崩されています。

大橋戦で見られるように、どんなに相手を追い詰めても基本のガードは崩さず、機械のように相手をしとめる姿は、

多くのボクシング関係者がそう述べるように、まさに「ボクシングの教科書」といえます。

井上とロペスを比較すると、井上のスーパーフライの印象が強いので、井上の豪快なKOでロペスが倒れそうなイメージを持ってしまいますが、

二人が重なっている階級であるライトフライでの動きを見ていきましょう。

井上最後のライトフライの試合である対サマートレック・ゴーキャットジム戦と、ロペスのライトフライ最後の試合

つまり引退試合である対ゾラニ・ペテロ戦を比較していきたいと思います。

まず目立つのはやはりロペスのガードの高さ。毎ラウンド開始の前、自身で確認するように両手を顔より高く上げているように見えます。

目もいい。ヘッドスリップとウィービングでペテロの攻撃は空を切ります。そして2R、天にも上りそうな左アッパーからの左フックでペテロは倒れます。

そして相変わらず右ストレートが伸びる。この試合何回もノーモーションの右を食らわしています。

8ラウンドのとどめもいきなりの右でした。ちなみに8ラウンドでもガードは全く1ラウンドと一緒、本当に理想のボクサーです。

ライトフライ時代の井上選手はこの男に勝てるか、という事ですが、難しいと思います。おそらく判定負け。

まずライトフライ級は井上選手の適正クラスではないはずです。

初めて世界タイトルに挑戦したアドリアン・エルナンデス戦では減量の影響で足をつるなどしています。

1度防衛してから返上し、1階級飛ばしてのスーパーフライ級王者を獲得していることから、ライトフライでは相当きつかったのでしょう。

スーパーフライに上げてスピードが全く目減りせず、パワーのみアップしています。適正体重に近づいて行っている証拠です。

この状態で、キャリア晩年とはいえリカルド・ロペスクラスの選手にはかなわないはずです。

詰めの際荒々しくなりガードが疎かになった時、ロペスの格好の餌食になるはずです。

ロペスは教科書といいましたが、井上選手は時にガードを下げ力強いパンチを連発します。ライトフライであれば、これはロペス選手には効かないでしょう。

ライトフライであれば、ロペス選手の勝ちです。

しかし、パウンドフォーパウンド的な、もし体重を考慮に入れない強さを考えた場合、体重を上げ全局面において大幅にパワーアップした井上選手に軍配があがるはずです。

貪欲にライバルを求める姿勢、チャンスと見たらここぞとばかりに詰めていく姿勢は、ロペスにはないプロボクサーとしてあるべき姿の一つです。

 

 まとめ

 

以上、リカルド・ロペスがもし戦ったら、という事で書かせていただきました。

やはり判断は非常に難しいです。ボクシングスタイルは細かい所で異なりますが基本オーソドックス。そしてどちらも世界を代表する名ボクサーです。

ライトフライ級時代の井上がロペスと戦うならば、その経験とスピード、パワーは相対的にロペスが上、ゆえにロペスが勝つだろうと予想させていただきました。

ただ、井上選手の適正体重やボクサーとしての姿勢を考え、体重を考えずに2人を比較すると、やはりボクサーとしては井上選手の方が魅力的にうつってしまいますね。

井上尚弥もあのリカルドロペスみたいに伝説の選手になるのでしょうか?

いや、なるよ

おわり

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