
ボクシング2025年総集編!井上尚弥・中谷潤人・堤聖也・クロフォード…激動の10大ニュース完全網羅
2025年のボクシング界を振り返る総集編。井上尚弥の年間4試合・世界戦27連勝から、クロフォードのカネロ撃破、堤聖也の下剋上、中谷潤人のSバンタム転向と苦闘まで。衝撃の10大ニュースをランキング形式で徹底解説。2026年の「井上vs中谷」の展望も網羅。【コブシノトリコ決定版】
2025年、ボクシングの歴史は大きく塗り替えられました。
海外では「体重差」という物理法則が覆され、国内では「絶対王者」の陥落と「雑草」の革命が交錯しました。
サウジアラビア「リヤド・シーズン」が定着し、定期的にビッグマッチが行われるようになった今年。しかし、振り返ってみれば、その中心にいたのは常に日本のボクサーたちだったと思います。
ブログ「コブシノトリコ」が勝手に選ぶ、2025年ボクシング界10大ニュース。
今回のランキングは、単なる強さの順位ではありません。
この1年間にリング上で起きた「歴史的偉業」「ファンに与えた衝撃」「ドラマ性」、そして「日本ボクシング界への貢献」という4つの視点に基づき選定しました。
数々の激闘の記憶と共に、全選手の詳細データ付きでカウントダウンします。
🥊 2025年ボクシング界・衝撃の10大ニュース早見表
- 第1位:井上尚弥「世界戦27連勝」&年間4試合完遂の鉄人
- 第2位:クロフォード「カネロ撃破」で神の領域へ到達
- 第3位:中谷潤人「Sバンタム転向」初戦の苦闘と勝利
- 第4位:ウシク「ヘビー級再戦」でサイズ神話を崩壊させる
- 第5位:井上拓真 堤聖也に敗れた後も「天心に完勝」激動の年
- 第6位:堤 聖也「拓真&ドネア連破」最大の下剋上を達成
- 第7位:ジェシー・“バム”・ロドリゲス「Sフライ級」完全制圧
- 第8位:ドミトリー・ビボル「Lヘビー級統一」盾が矛を砕く
- 第9位:タンク・デイビス 話題性は抜群もリング上は「消化不良」
- 第10位:寺地拳四朗「2階級制覇」フライ級でも精密機械は健在
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【番外編】2026年へのプロローグ:「井上尚弥 vs 中谷潤人」

ランキングに入る前に、このビッグニュースに触れておかなければなりません。
今月(12月)、井上尚弥と中谷潤人の両陣営がついに交渉のテーブルに着いたことが報じられました。
PFP上位ランカー同士が、全盛期に、しかも日本人同士として激突する。
これは、かつての「辰吉 vs 薬師寺」や「畑山 vs 坂本」を超える、日本スポーツ史上最大のイベントになるでしょう。2025年の全ての戦いは、この2026年の「最終決戦」へ続く一本の道だったのかもしれません。
【第10位】寺地拳四朗、フライ級でも「精密機械」は狂わず
・生年月日:1992年1月6日(33歳)
・出身:日本・京都府
・身長/リーチ:164.5cm / 164cm
・スタイル:右ボクサーファイター
・戦績:27戦 25勝 (16KO) 2敗
・世界2階級制覇王者【ここが凄い】L・フライ級で絶対政権を築いた後、2025年にフライ級へ転向。「精密機械」の異名通り、ジャブの差し合いと距離感の支配は神業の領域。階級を上げてもパワー負けしないフィジカルを証明し、2階級制覇を達成した。
階級の壁を技術で突破
L・フライ級で長期政権を築いた寺地拳四朗にとって、2025年は「フィジカルの壁」への挑戦でした。しかし、フライ級王者(ユーリ阿久井政悟らとの統一戦など)との戦いで見せたのは、パワー負けしない体幹と、さらに研ぎ澄まされた距離感でした。
かつての彼は「打たせずに打つ」アウトボクサーでしたが、今の彼は違います。被弾を恐れず接近戦で打ち勝ち、相手の心をへし折る。
フライ級という新たな戦場で、軽量級最強の座を堅持したその安定感は、やはりTOP10に外せません。
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【第9位】“タンク”・デイビス、話題性は抜群も…リング上では「消化不良」の1年
・生年月日:1994年11月7日(31歳)
・出身:アメリカ・メリーランド州
・身長/リーチ:166cm / 171cm
・スタイル:サウスポー
・戦績:31戦 30勝 (28KO) 1分け無敗
・現WBA世界ライト級王者
・世界3階級制覇王者【ここが凄い】軽量級離れした一撃必殺のパンチ力を持つスーパースター。ポイントを先行されていても、一瞬の隙を突くカウンター(特に左アッパー)ですべてをひっくり返す「殺傷能力」は現役No.1。
スーパースターゆえの苦悩と批判
第9位は、ライト級の顔である“タンク”・デイビス。今年もその左拳でド派手なKO劇を見せ、PPVを爆売れさせた点において、彼がスターであることに疑いの余地はありません。
しかし、コアなボクシングファンにとっては「フラストレーションの溜まる1年」でもありました。
一撃のカウンターを狙いすぎるあまり、ラウンドの大半を手数少なく過ごす「待ち」のスタイルは、KOシーン以外は退屈という批判も招きました。
また、ファンが熱望するシャクール・スティーブンスンらとの統一戦よりも、「ビジネスとして計算できる相手」を選んだマッチメイクへの不満も燻っています。
凄いのは間違いない。だからこそ、「本気のタンク」が見たい。2026年こそ、本当のビッグマッチを期待します。
【第8位】ドミトリー・ビボル、宿敵ベテルビエフに雪辱!Lヘビー級統一
・生年月日:1990年12月18日(35歳)
・出身:キルギス(国籍:ロシア)
・身長/リーチ:183cm / 183cm
・スタイル:右ボクサーファイター
・戦績:25戦 24勝 (12KO) 1敗
・現WBAスーパー・IBF ・WBO世界ライトヘビー級統一王者
【ここが凄い】カネロ・アルバレスを完封したことで名を馳せた「鉄壁の盾」。2024年にベテルビエフにプロ初黒星を喫し王座陥落するも、2025年のダイレクトリマッチで見事に雪辱。技術がパワーを凌駕することを証明し、王座に返り咲いた。
「初黒星」を糧にした完璧なリベンジ
全世界が注目したライトヘビー級4団体統一戦のダイレクトリマッチ。2024年、アルツール・ベテルビエフの剛腕の前にキャリア初黒星を喫したビボルでしたが、この再戦では別人でした。
前戦の反省を活かし、徹底してサイドに回り込むフットワークでベテルビエフの突進を無力化。焦って打ち込むパンチは全て空を切り、逆にビボルの鋭いワンツーが顔面を捉え続けました。
「矛と盾」の最終解答
勝敗は判定での勝利。「一度負けた相手に、技術で修正して勝つ」。
それは単なる勝利以上に、ボクシングという競技の知能戦としての奥深さを、これ以上ないほど美しい形で世界に証明する一戦となりました。
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【第7位】ジェシー・“バム”・ロドリゲス、Sフライ級「完全制圧」
・生年月日:2000年1月20日(25歳)
・出身:アメリカ・テキサス州
・身長/リーチ:164cm / 170cm
・スタイル:サウスポー
・戦績:23戦 23勝 (16KO) 無敗
・現WBA・WBC・WBO世界スーパーフライ級統一王者【ここが凄い】
「レジェンドキラー」の異名を持つ若き天才。シーサケット、エストラーダら大物を次々と撃破。サイドに回り込む華麗なフットワークと、予想外の角度から飛んでくるパンチでSフライ級を統一した。
<パウンドフォーパウンド第3位>
レジェンド・キラーの独走
「バム」ことジェシー・ロドリゲスにとって、2025年は収穫の年でした。スーパーフライ級のベルトをまとめ上げ、もはやこの階級に敵なしを宣言。
かつて井岡一翔やローマン・ゴンサレスらが築いたSフライ級の歴史を、若き天才が完全に上書きしました。彼の視線は既に、中谷潤人や井上尚弥のいるバンタム以上の階級に向けられています。2026年、彼が日本に来る日が来るかもしれません。
世界中の猛者がひしめくボクシング界で、あのビボルやベテルビエフ、中谷潤人さえも抑えてのPFP3位。 “ネクスト・モンスター” ジェシー・“バム”・ロドリゲスは、もはや期待の若手ではない。井上尚弥やウシクと並び、現代ボクシングの頂点に君臨する『完成された怪物』だ!
【第6位】堤 聖也、2025年最大の「下剋上」!拓真とドネアを喰った男
・生年月日:1995年12月24日(30歳)
・出身:日本・熊本県
・身長/リーチ:166cm / 164cm
・スタイル:右ボクサーファイター(スイッチ巧者)
・戦績:16戦 13勝 (8KO) 3分 無敗
・現WBA世界バンタム級王者【ここが凄い】
2025年のシンデレラボーイ。豊富な運動量と左右スイッチで相手を撹乱するスタイル。エリート街道ではなく、叩き上げの雑草魂で井上拓真とノニト・ドネアを連破し、一気にスターダムへ駆け上がった。
雑草がエリートを倒した日
今年、日本ボクシング界の主役は間違いなく彼でした。
去年はWBA王者・井上拓真との一戦。大方の予想は「拓真の判定防衛」でしたが、堤はそれを覆しました。
スイッチワークと止まらない手数。そして何より、亡きライバル・穴口一輝選手への想いを背負った「執念」が、拓真の鉄壁のガードをこじ開けました。
レジェンドへの引導
さらに驚くべきは、今年12月の試合で“フィリピンの閃光”ノニト・ドネアと対戦し、引導を渡したことです。
「井上拓真に勝ち、ドネアに勝った日本人」。堤聖也の名は、一夜にして世界に轟きました。
【第5位】井上拓真、天心に「ボクシング」を教示。しかし…
・生年月日:1995年12月26日(30歳)
・出身:日本・神奈川県
・身長/リーチ:164cm / 163cm
・スタイル:右ボクサーファイター
・戦績:23戦 21勝 (5KO) 2敗
・現WBC世界バンタム級王者【ここが凄い】
兄・尚弥とは対照的に、相手の良さを消すディフェンス技術においては世界屈指。被弾せずにポイントをピックアップする「負けないボクシング」でWBA王座を獲得。天心戦での完封劇は記憶に新しい。
「世界王者」の矜持(きょうじ)と壁
【復活の王座奪還】井上拓真 vs 那須川天心
昨年の堤聖也戦での敗戦から再起をかけた井上拓真が、11月のWBC世界バンタム級王座決定戦で那須川天心と激突。「スピードの天心か、経験の拓真か」と謳われた一戦は、拓真がキャリアの差を見せつける結果となった。
序盤の天心のスピードを凌ぐと、中盤からはボディ攻めとインサイドワークで圧倒。天心にプロ初黒星を与え、見事に世界王座へ返り咲いた。一度はベルトを失った拓真だが、この完勝劇で再びバンタム級の中心人物であることを満天下に示した。
【第4位】オレクサンドル・ウシク、ヘビー級の歴史を変えた「再戦」
・生年月日:1987年1月17日(38歳)
・出身:ウクライナ
・身長/リーチ:191cm / 198cm
・スタイル:サウスポー
・戦績:24戦 24勝 (15KO) 無敗
・WBSSクルーザー級優勝
・現WBAスーパー・WBC・IBF世界ヘビー級統一王者
・ヘビー級史上初の4団体統一王者。史上3人目の2階級4団体統一王者【ここが凄い】
クルーザー級とヘビー級の2階級で4団体統一を成し遂げた歴史的偉人。自分より遥かに巨大な相手を、絶え間ないフットワークとスタミナで翻弄する「技術の巨人」。
<パウンドフォーパウンド第1位>
巨人時代の終焉
タイソン・フューリーとのダイレクトリマッチ。第1戦の辛勝とは異なり、この日のウシクは完璧でした。
身長差・リーチ差を無効化するステップインと、ボディワーク。スタミナ切れを起こしたフューリーを後半圧倒し、文句なしの判定勝利。「ヘビー級はデカければ勝てる」という近年のトレンドを、クルーザー級上がりのテクニシャンが完全に終わらせました。
また、長らく1位の座を争っていたテレンス・クロフォード(米国)が現役引退を表明し、ランキングから除外されたため、ウシクが再び「世界最強のボクサー」としての地位PFP(1位)を確立しました。
評価ポイントとして、クルーザー級に続きヘビー級でも4団体統一を成し遂げた史上稀に見る「2階級4団体統一王者」としての実績が、他の追随を許さない評価に繋がっています。
【第3位】中谷潤人、バンタム級統一&Sバンタム転向。エルナンデスとの「死闘」を経て
・生年月日:1998年1月2日(27歳)
・出身:日本・三重県
・身長/リーチ:173cm / 174cm
・スタイル:サウスポー
・戦績:32戦 32勝 (24KO) 無敗
・元WBC・IBF世界バンタム級統一王者。世界3階級制覇王者【ここが凄い】
長身サウスポーから繰り出されるロングレンジの攻撃と、意識を断ち切るカウンターアッパーが武器。バンタム級統一後、Sバンタム級へ転向。怪物・井上尚弥の対抗馬一番手として世界中が注目する「愛の拳」改めBIG BANG。
<パウンドフォーパウンド第6位>
118ポンド最強の証明
前半戦、6月の統一戦(西田凌佑戦など)を制し、バンタム級において「敵なし」を証明していた中谷。長身サウスポーから繰り出されるアッパーは、今年も多くの挑戦者をマットに沈めました。ここまでは順風満帆でした。
122ポンドの洗礼と、見せた「底力」
しかし、迎えたSバンタム級(122ポンド)への転向初戦。メキシコの強豪エルナンデスを相手に迎えた一戦は、予想外の「大苦戦」となりました。
減量苦から解放されたはずが、逆に階級の壁を感じさせるフィジカル差に直面。中盤まではエルナンデスのプレスに押され、被弾する場面も目立ち、会場は悲鳴に包まれました。
それでも終盤、驚異的なスタミナと精神力で巻き返し、薄氷の勝利をもぎ取りました。
「Sバンタムは甘くない」。その現実を突きつけられた初戦でしたが、それでも泥臭く勝ち切る「底力」を見せたことで、逆に井上尚弥戦への期待感は、スリルと共に高まったと言えるでしょう。
PFPとして、以前は9位〜10位前後で評価されていましたが、バンタム級での王座統一(WBC・IBF・Ring誌ベルト獲得)や圧倒的な防衛戦の内容が評価され、順位を上げてきました。
【第2位】テレンス・クロフォード、神の領域へ。カネロ・アルバレス撃破の衝撃
・生年月日:1987年9月28日(38歳)
・出身:アメリカ・ネブラスカ州
・身長/リーチ:175cm / 188cm
・スタイル:サウスポー(スイッチ)
・戦績:42戦 42勝 (31KO) 無敗
・世界5階級制覇王者。史上初の3階級4団体統一王者【ここが凄い】
ボクシングIQの塊。左右どちらの構えでも戦え、相手の弱点を瞬時に見抜く天才。ライト級からSウェルター、そしてSミドル級へと階級を上げても攻撃力が落ちない「現代最高傑作(GOAT)」。
元パウンドフォーパウンド1位
「階級差」という常識の崩壊
2025年、世界を最も震撼させたのはこの試合です。
PFPキング、テレンス・クロフォードが、Sミドル級の絶対王者サウル・“カネロ”・アルバレスに挑んだ無謀とも言える挑戦。
しかし、リング上で起きたことは一方的な蹂躙でした。カネロのプレスをいなし、正確無比なジャブとカウンターで顔面を跳ね上げ続けるクロフォード。
体重差を技術だけで無効化し、判定で勝利した瞬間、彼はボクシング史上最高の選手(GOAT)としての地位を確立しました。
井上尚弥が「モンスター」なら、クロフォードは「魔法使い」。最強のままグローブを置いた2025年は、彼の年として永遠に語り継がれるでしょう。
【第1位】井上尚弥、前人未到の領域へ。「世界戦27連勝」と「年間4試合」の鉄人
・生年月日:1993年4月10日(32歳)
・出身:日本・神奈川県
・身長/リーチ:165cm / 171cm
・スタイル:オーソドックス
・戦績:32戦 32勝 (27KO) 無敗
・現WBAスーパー・WBC・IBF・WBOスーパー世界スーパーバンタム級統一王者
・世界4階級制覇王者。WBSSバンタム級優勝。アジア人初、史上2人目の2階級4団体統一王者
【ここが凄い】
通称「モンスター」。圧倒的なパンチ力、スピード、テクニックの全てを兼ね備えたパーフェクト・ファイター。2階級で4団体統一を成し遂げ、2025年は年間4試合を行い全て勝利。「世界戦27連勝」というメイウェザーの26連勝を超えて新記録を樹立した。
<パウンドフォーパウンド2位>
モンスターの2025年は「記録」との戦い
栄えある第1位は、やはりこの男です。
2025年の井上尚弥の凄さは、派手なKO劇以上に、その「異常なまでの完遂力」にありました。
1月、5月、9月、12月。世界チャンピオンが、しかも4団体のベルトを守りながら年間4試合を行うこと自体が、現代ボクシングではあり得ないペースです。
This combination from Naoya Inoue was too nice 👹 pic.twitter.com/Gbep3PeBMR
— Ring Magazine (@ringmagazine) December 29, 2025
全ての挑戦者を退けた「27連勝」
世界中から集まる「打倒・井上」の刺客たちを、彼は一度も躓くことなく退け続けました。これで世界戦27連勝。メイウェザーの記録を超えて新記録達成です!
特に9月の対アフマダリエフ戦、12月の対ピカソ戦で見せた、相手に何もさせない完封劇。まさに「打たせずに打つ」を実行して見せた。
32歳を迎え、反射神経に頼らない「崩れないボクシング」を手に入れた怪物は、完全無欠の存在となりました。
誰も彼を止められない。止めることができるとしたら、それは2026年に対戦が噂される「あの男」だけかもしれません。
【編集後記】2025年、ボクシングは最高だった。
クロフォードの魔法に酔いしれ、堤聖也のドラマに涙し、中谷潤人の試合に驚愕し、井上尚弥の強さに戦慄(せんりつ)したした2025年。
これほど濃厚な1年は過去になかったのではないでしょうか。
そして物語は2026年へ続きます。
井上尚弥 vs 中谷潤人。
那須川天心の逆襲。
堤聖也の防衛ロード。
ブログ「コブシノトリコ」では、来年もリング上の熱狂を余すところなくお届けします!
あなたにとっての2025年ベストバウトは何でしたか?

