
しばらくブログの更新が止まっていましたが、水面下でボクシング界の動きはずっと追っていました。
そして今、長い沈黙を破って記事を書かざるを得ない状況になっています。
なぜなら、2025年末のバンタム級が、ここ数年で最も「熱く、残酷で、そして面白い」状況になっているからです。
絶対王者・中谷潤人がSバンタムへ去り、一瞬の静寂が訪れるかと思いきや……待っていたのはレジェンドたちの殴り込みと、新世代の潰し合いでした。
今回は、情報の整理が追いつかない読者のために、「那須川天心の初黒星」から「WBC総会での衝撃指令」まで、激動の現在地を徹底的に深掘りします。
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【2025年最新】バンタム級4団体王者・勢力図まとめ
まずは、大きく塗り替わった世界地図を確認しましょう。
特筆すべきは、空位だったIBF王座が埋まり、4つのベルトがすべて埋まったこと。そして、日本とメキシコが覇権を争う「日墨対抗戦」の様相を呈してきたことです。
| 団体 | 王者 | 現在のステータス・詳細 |
|---|---|---|
| WBA | 堤 聖也 (日本) |
【ドネア越え】 井上拓真から王座奪取後、レジェンドのノニト・ドネアを下し評価急上昇。変則的なリズムと無尽蔵のスタミナで長期政権を狙う。 |
| WBC | 井上 拓真 (日本) |
【天心撃破】 11月の王座決定戦で那須川天心を完封。兄・尚弥とは違う「守りの美学」を極め、再び頂点へ。 |
| IBF | J.サラス・レイジェス (メキシコ) |
【新王者】 決定戦を制したメキシコの無敗ホープ。非常に好戦的かつ回転力のあるスタイルで、日本のジム勢にとって脅威の存在。 |
| WBO | C.メディナ (メキシコ) |
【武居狩り】 武居由樹をTKOで葬った強打者。メキシカン特有のボディワークと強烈なパンチ力を持つ。 |
管理人の視点
「日本人4王者時代」は終わりを告げ、再び世界との生存競争が始まりました。
しかし本当のニュースはここからです。王者の首を狙って、Sフライ級の一時代を築いたとんでもない「怪物たち」が、この階級に集結し始めました。
【特大ニュース】那須川天心の再起戦、相手は「エストラーダ」に決定か?
これが今回最大のニュースであり、私が急いで筆を執った理由です。
2025年12月3日、タイ・バンコクで開かれたWBC年次総会にて、世界を揺るがす指令が出されました。
「WBC同級1位・那須川天心 vs 同級3位・フアン・フランシスコ・エストラーダによる挑戦者決定戦を行え」
再起戦がいきなり「レジェンド」という過酷さ
11月に井上拓真に敗れ、プロ初黒星を喫したばかりの天心。
通常のルーキーなら格下相手に再起戦を行い、自信を取り戻すのがセオリーです。しかし、彼に用意されたのはSフライ級の生ける伝説、エストラーダでした。
■エストラーダという男の凄さ
ボクシングファンなら説明不要でしょうが、改めて解説します。
かつてローマン・ゴンサレス(ロマゴン)と死闘を繰り広げ、シーサケットやクアドラスといった猛者たちとしのぎを削ってきた「軽量級黄金期」の主役の一人です。
「ガジョ(雄鶏)」の愛称通り、無尽蔵のスタミナと、相手の長所を消す老獪なテクニックを持っています。全盛期は過ぎたとはいえ、その経験値は天心にとって未知の領域です。
■天心にとっての「ハイリスク・ハイリターン」
この試合は単なる再起戦ではありません。
勝てば、王者・井上拓真へのリベンジ権(指名挑戦権)を即座に獲得できます。
しかし、負ければ泥沼の連敗。選手生命すら左右しかねない、究極のギャンブルマッチです。
「負けた天心」にこれだけのビッグマッチが用意されること自体、彼が依然として世界的なスターであることを証明していますが、それにしても相手が強大すぎます。
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【深掘り検証】なぜ井上拓真は「那須川天心」を完封できたのか?
では、その天心が一度は敗れた王者・井上拓真の強さとは何だったのか。
今もSNSで議論が続く、11月のWBC王座決定戦(井上拓真 3-0 那須川天心)を、技術的な視点で振り返ります。
天心の「聖域」を潰した接近戦
試合前、多くの予想は「天心のスピードに拓真がどう対処するか」でした。
しかし、拓真が選んだ戦術は、離れてかわすことではなく、「天心の嫌がる距離まで踏み込むこと」でした。
天心のスピードが最も活きるのは、踏み込んで打てる「中間距離」です。
拓真はこの距離を徹底的に拒否しました。ガードを固めて強引に距離を詰め、天心が得意とするスピードボクシングができない「接近戦(インファイト)」の泥仕合に引きずり込んだのです。
■勝負を分けたポイント
接近戦になれば、フィジカルとキャリアで勝る拓真の独壇場です。
窮屈な距離で手打ちになる天心に対し、拓真はショートの右やボディをねじ込み、身体を寄せて体力を削り続けました。
「打たせずに打つ」と言われますが、この試合に関しては「打てる距離を潰して、相手の良さを消した」という表現が正しいでしょう。
兄・尚弥のような派手さはなくとも、相手の光を完全に消し去るこの老獪さこそが、井上拓真という王者の真骨頂でした。
WBAも熱い!堤聖也の快挙と「井岡一翔」の襲来
WBCに「エストラーダ」が来るなら、WBAにはこの男が来ます。
Sフライ級から上げてきた日本ボクシング界のマスター、井岡一翔です。
ドネアに引導を渡した男、堤聖也
迎え撃つWBA王者・堤聖也も、今や押しも押されもせぬ強豪王者です。
あのノニト・ドネアに対し、真っ向から打ち合って勝利をもぎ取りました。
比嘉大吾戦で見せたドロー防衛の粘り強さに加え、レジェンド狩りを果たしたことで「王者の風格」が備わっています。変則的なリズムから繰り出す連打は、誰にとっても脅威です。
井岡一翔、WBA挑戦者決定戦へ
そして井岡一翔は、バンタム級転向初戦として「WBA挑戦者決定戦」への出場が決まっています。
いきなりのタイトル挑戦ではなく、決定戦を挟むあたりが、井岡陣営の「本気度」と「準備への周到さ」を感じさせます。
【管理人予想:堤聖也 vs 井岡一翔】
もし井岡が勝ち上がり、このカードが実現すれば「2026年ベストバウト候補」です。
堤のフィジカルと変則リズムを、井岡の鉄壁ガードと精緻なボディブローがどう捌くのか。
後半勝負になれば、経験値で勝る井岡が有利か、それとも底なしのスタミナを持つ堤が押し切るか……想像するだけで夜も眠れません。
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IBF・WBO:メキシコ勢の台頭と武居由樹の去就
最後に、他のベルトの行方も見ておきましょう。
空位だったIBF王座を獲得したホセ・サラス・レイジェス(メキシコ)。
そして武居由樹を破ったWBO王者のクリスチャン・メディナ(メキシコ)。
この二人のメキシカン王者は、非常に好戦的でタフです。かつてのような「穴王者」ではなく、統一戦を行うには相当な覚悟が必要な相手と言えるでしょう。
武居由樹はSバンタムへ?
WBO王座を失った武居由樹ですが、彼には「Sバンタム級転向」の噂が絶えません。
バンタム級(53.5kg)の減量は限界説があり、階級を上げることでK-1時代の爆発的なパワーが戻る可能性があります。
もしSバンタムに行けば、そこにはかつての同僚・井上尚弥や、ライバル中谷潤人がいます。
「バンタム級でのリベンジ」か、「修羅のSバンタム」か。武居の決断も、2026年の勢力図を大きく左右するでしょう。
まとめ:2026年、バンタム級は「Sフライ級オールスターズ」の戦場へ
状況を整理していて震えが来ました。
今のバンタム級には、かつて軽量級を盛り上げた主役たちが全員集まっています。
- 井岡一翔:4階級制覇王者(日本ボクシング界の至宝)
- エストラーダ:2階級制覇王者(ロマゴンのライバル)
- ドネア:(堤に敗れたとはいえ、この階級に大きな痕跡を残した)
- 井上拓真:彼らを迎え撃つ、最強を証明した現王者
- 堤 聖也:雑草魂でレジェンドを食ったWBA王者
- 那須川天心:すべてをひっくり返す可能性を秘めたスーパースター
エストラーダや井岡が参戦し、天心がそこへ挑んでいく。
これはもはや、単なるバンタム級のタイトルマッチではありません。
「誰が一番強いのか」を決める、2020年代軽量級の最終決戦です。
2026年のバンタム級は、間違いなく世界で一番面白い階級になります。
当ブログでは、注目の「天心 vs エストラーダ」の日程が決まり次第、速報でお伝えします!

