現在はバンダム級がとっても熱い‼
日本のモンスター、「パウンドフォーパウンド」ランキング入りの井上尚弥がこの階級に参戦するからですね
スーパーフライ級ではランカーだけでなく、王者すらビビッて逃げた井上尚弥の強さ
強い相手を求めてバンダムにやってきます。
現在バンダム級の王者は4人。WBAにはスーパー王者、正規王者、暫定王者と3人も、IBFに1人となっています。
井上尚弥はまだバンダムでの試合はありませんが、パウンドフォーパウンドに入っている井上尚弥は外せません。
井上尚弥もからめた、バンダム最強王者は誰なのか?見ていきたいと思います。
井上尚弥バンダムデビューの相手 WBA正規王者ジェイミー・マクドネル
リスクの高いマッチメイクをしない事で、ある意味選手を大事にしているイギリスのプロモーター、エディ・ハーンが3月6日、Twitterでマクドネル対井上尚弥の正式発表を行いました。
マクドネルは現在33戦29勝13KO2敗1分で、現在WBAバンダム級の正規チャンピオン。リングマガジン社はマクドネルを同階級ナンバー2に位置付けています。
元々IBFのバンダム級チャンピオンでした。今はスーパーバンダムに階級を上げていますが、KO率87%を誇るフリオ・セハを判定で破り王者の椅子についています。
その後統一戦は行わずIBFは返上。空位となったWBAの王座をめぐり、タビティマダン・ナワチャワットと王座決定戦を行い、今の位置につきました。
日本で名前が少し知れたのは、2回の亀田和毅選手との防衛戦ですね。
基本のジャブから入っていく、多少の打ち合いには応じますが、非常に堅実なボクサーだという印象が残りました。
アメリカ市場ではウケは良くないようなファイトスタイルだと思います。
正直判定は亀田でもいいかなと思いましたが、後半こつこつジャブを当てたマクドネルに軍配があがりましたね。会場も判定にはブーイング・・
自分から仕掛けていくような事はあまりせず、スロースターターで、後半にポイントを取る試合が多いですね。
日本の井上尚弥のバンダムデビュー戦は、このマクドネル。井上尚弥がバンダム級の扉を開けられるか否か、といった最初の関門になってきます。
保守的で知られるマクドネルのプロモーター、エディ・ハーンが井上との対戦に踏み切り、それをしかも日本で行うというのですから、ちょっと驚きました!
マクドネルには酷な言い方かもしれませんが、エディ氏は既にマクドネルの商品価値を二の次として
スーパー王座にいるライアン・バーネットに最も大きな商機を見出しているのかもしれません。
実際マクドネル陣営も「厳しい戦いになる」と言ってしまっています。井上にとって懸念材料があるとすれば、身長差くらいでしょうか?
その体格差に押されてコツコツジャブを当てられ悪い印象を残さないようにすることが大切です。
特に体格差の出てくる後半戦、この後半戦はマクドネルが得意とするところなので、井上のパワーで早い展開のKOを狙ってほしいと思います。
でも井上尚弥のバックステップは天下一品ですし、高身長のファイターともスパーをやっているようなので、そこら辺は抜かりないでしょう。
WBA王者ジェイミー・マクドネル。専門家も十中八九井上有利で、正直怖い選手ではないですが、ロマゴンですら壊せなかった「体重、体格の壁」への井上の適応力が試されます。
更新:5/25 井上尚弥VSマクドネル⇒圧巻の、驚愕の1ラウンド112秒でのKO勝利で井上尚弥がWBA正規チャンピオン!
全世界に井上尚弥強しというところを見せつけました
WBAスーパー王者ライアン・バーネット
マクドネルと同じく、イギリス出身でエディ・ハーン傘下の選手ですが、マクドネルよりも好戦的なファイトをします。
手数は多くありませんが、ためて力強いパンチを打つ選手ですね。丁度デビッドレミューのような感じです。
現在19戦全勝9KOのパーフェクトレコードを持っています。
初めての世界王者奪取はIBF!2017年6月にリー・ハスキンスを判定で下しています。
リー・ハスキンスは現在スーパーバンダムで世界王者の岩佐選手を下している好選手です。
この時の判定はスプリットだったのですが、明らかな判定ミスがありスプリットとなってしまい、実質フルマークの判定勝ちとみていいでしょう。
井上選手がマクドネルをクリアし正規王座に就いた後、このバーネット戦が見れれば面白いのですが
バーネットのこれまでを見ると、そうも簡単にいかないかなというのが大方の見方です・・
前述の通り、バーネットをプロモートするエディ・ハーンは、傘下選手にリスクの高い試合は行わせない主義。
エマニュエル・ロドリゲスからはIBF王座返上の際逃げていると言われ
ゾラニ・テテとの対戦に関しては、エディ・ハーンの口からリスクの高い試合だからやらないとまで明言してしまっています。
ボクシングはもちろんビジネスですが、それを全てにしないでほしいですね。バーネットはそこまで過保護にしなければいけないほど弱い選手ではありません。
過去の話になりますが、バーネット選手はヨスバニー・ベイティア選手にアマ時代勝利しています。
なぜこの選手の事を持ち出したかというと、このベイティアはアマ時代の井上選手が勝てなかった相手。
だからバーネットは井上選手よりも上なんだと言う事はもちろんできませんが、リスク承知で大物とあてる価値はあると思うのです。
ロドリゲスやテテに勝利する確率も低くはないでしょう。
1発1発がつよく、捨てパンチというものが少ないですね。
攻撃だけでなく、ディフェンス技術にも自信があるみたいで、元々ガードは高くありませんが
2017年10月に行われた対ザナト・ザキヤノフ戦ではノーガードを見せつけ、非常に速いヘッドスリップを以てして接近戦の細かいパンチをかわしていました。
上述のマクドネルが堅実なオールドスタイルで、このバーネットは突進型のぶんぶん丸といったところでしょうか。
WBO王者 ゾラニ・テテ
南アフリカ共和国出身のボクサーで、現在30戦27勝21KO3敗。
3敗とありますが、ここ5年は負けなしです。IBFのスーパーフライ級王座も取っているので、今のところ2階級制覇王者ですね。
フライ級でも戦っていましたが、同じ南アフリカのムルティ・ムザラネ選手に2010年に挑戦するも5回TKO負け。その後スーパーフライへ移っています。
2014年に空位のIBFスーパーフライ級王座をめぐって、日本の帝里木下選手と戦っています。この時帝里選手は左ジャブだけで攻略されていますね。
アフリカのボクサーらしく、手足が長くて懐が深い。
リーチは183cmだそうです。身長も大きく173cm。バンダムには不釣り合いな体格です。
スーパーフェザーでも大きい方じゃないでしょうか。一番新しい試合が対オマール・ナルバエス戦ですが、2人の身長は頭一つ分違いました。
リングマガジンはテテをバンダム級1位にランクしており、WBA王者のマクドネルやバーネットよりも上に置いています。
テテの最近のハイライトはやはり世界戦最短記録となるタイトルマッチでの11秒ノックアウト。
日本では内藤大助選手がポンサクレック・ウォンジョンカムに対し1R34秒KO負け、さらにその後の日本タイトル防衛戦で1R24秒KO勝ちするなど、「最短男」と呼ばれていますが
テテはさらにそれを上回る「最短男」です。
直近の試合では、井上選手が圧倒したオマール・ナルバエス選手と戦い、3者フルマークの判定勝ちをおさめています。
ナルバエスは既に42歳で完全にロートルといえますが、テテ以前で負けたのはノニト・ドネア、井上の超トップクラスのみです。
この選手に判定で3者ともフルマークはテテの技術力の高さを示しています。
ナルバエスは元々耐久性が高かったので、バンダムにあげて更にアップしていることでしょう。これをKO出来なかったからといって、井上よりもテテが下であるとは言い切れません。
テテの数試合を見ていると、自分からガンガン行くというよりもカウンター狙いの技巧派。
どことなくリゴンドーを思い起こさせます。
手足が長い事もあってか、ジャブ、ジャブ、ストレートが非常に綺麗。相手が接近してのコンパクトな左アッパーも威力があります。サウスポーのお手本のようなボクサーですね。
WBA暫定王者 レイマート・ガバリョ
王者乱立の時代を象徴するように、WBAバンダムには今3人の王者がいます。その暫定王者が、このレイマート・ガバリョ。
名前は知られていませんが、非常に楽しみな選手です。フィリピン出身で、現在19戦19勝ちのパーフェクトレコード、うち16勝をKOで決めています。伊達に「暗殺者」を名乗ってないですね。
4人のバンダム級王者の中で、最も井上選手にスタイルが似ています。
オーソドックススタイルから鋭い踏み込みでワン・ツー、相手のガードに阻まれれば、また鋭いバックステップで相手の射程圏外に戻ります。
アマチュア経験も殆どないのに、19戦でこの完成度は凄いと思います。
しかもデビューは2014年。2014年は6試合、2015年は5試合、2016年も5試合とかなりのハイペースで経験を積んできました。今時フィリピンでも珍しいと思います。
それだけダメージを受けない選手なんですね。
2017年は2試合と少なそうに見えますが、なんと11月に2試合しています。日本の4回戦ボクサーでは絶対にありえません。
ちなみに来日経験も数回あり、山中選手や井上選手ともスパーリング経験があります。故郷のジェネラル・サントスではゾウ・シミンとも練習しているようです。
井上尚弥とのスパーの感想は「今までリング上で受けたパンチの中で一番強かった」でした。同門のライト級選手、ハーモニット・デラ・トーレ並みだと言っています。
リップサービスかどうか分かりませんが、井上尚弥のパンチの凄さを物語っていますね。
最新の2018年3月の試合で、ステファン・ヤングに勝ち、WBA暫定の王者を獲得しました。まだ21歳と若く、成長余地の非常に大きい選手です。
現在の最強王者と井上尚弥の立ち位置
まず、この4王者の中で最強はゾラニ・テテでしょう。強いというよりも、戦いづらいというのが適当な表現だと思います。
マクドネル、ガバリョのようなオーソドックス、バーネットのような背中を丸めての振り回し型は、テテの長い左リードに相当苦戦するはずです。
リングマガジンも現在テテを最上位に置いています。
テテの後ろに付いているフランク・ウォーレンプロモーターは、ハイリスク・ハイリターンの勝負を仕掛ける事が多いので
今後テテのターニングポイントとなる勝負も増えてくるでしょう。
ビリー・ジョー・サンダースもウォーレン傘下。ゴロフキンへの挑戦を積極的にアピールしているところを見ると、やはり勝負師のようです。
そしてそのテテのターニングポイントには、もちろん井上尚弥も入ってきます。
以前テテは井上にラブコールを送っており、結果井上陣営はマクドネルを選んでしまいましたが、WBAの正規王座となればテテとの対戦も、井上が望んでいた統一戦で叶うはずです。
バーネットはスーパー王者ですが、数回の防衛を評価されてのスーパーではなく
スーパー王者であったザナト・ザギヤノフを下して、その称号がそのままバーネットに移ったかたちです。
元々はアンセルモ・モレノが7回防衛を評価され、彼がスーパー王者の称号を手に入れました。
その後モレノを破ったルーシー・ウォーレン、そのウォーレンを破ったザギヤノフ、今はバーネットに移っているという具合で
スーパー王者というよりもただの正規王者のように扱われている感が否めませんね
もちろんバーネットは強く、パンチ力でいえば井上と同等のような印象を受けます。
しかし、一番実力を知っているであろうそのプロモーターエディ・ハーン自身がテテとやるにはまだ早いと明言してしまっているので
バーネットの立ち位置は、マクドネル以上テテ以下といったところが妥当ですね。
潜在能力は高いのですが、メジャーどころとの対戦がないガバリョはその下という事になるでしょう。
かつてスパーリングを行った井上選手との対戦もストーリーがあって面白そうですが、まずは登竜門的な存在感になったマクドネルと対戦して欲しいですね。⇒5/25 井上尚弥のKO勝利
その後経験を積み、今のままのファイトスタイルでいけば井上選手とかみ合うと思います。
そしてまだバンダムに参戦前の井上選手の位置は、PFP6位にいることもあり、前評判では完全にトップです。
しかし、ロマゴンのようにどんな名選手でも体重、体格の壁というのは大きく立ちはだかる。
マクドネルは問題ないと思いますが、この中で現在、井上打倒の最右翼はゾラニ・テテになるでしょう。
唯一の懸念材料としては、井上尚弥の鋭いステップイン、アウトでも、テテの長い左リードをかいくぐれるのか、ちょっと心配です。
恐らく、いらぬ心配だと思いますが・・
また、バンダムの最強を決めるイベントとして、ワールド・ボクシング・スーパー・シリーズのバンダム級での開催が計画されています。(WBSS)
開催の場合、積極的な参加表明をしているのはテテと井上。これにバーネットとガバリョ、エマニエル・ロドリゲスが加わってくれれば、役者がそろいます。
プラスWBCの王座決定戦の勝者、世界ランカー上位2名
さらに、お騒がせ男のルイス・ネリ、”フィリピンの閃光”ノニト・ドネアも参戦予定で、本来8選手によるトーナメントですが、超えそうです。
事前に予選大会なんかをするのでしょうか?
それほど、バンタム級最強トーナメントは話題性も抜群で賞金も出て「おいしい」ということですね
スーパーフライではアンカハス、ヤファイとの対戦がかなわず、バンダムにあげた井上尚弥。
一部海外では、シーサケットから逃げてバンダムに上げ、テテからも逃げているという評価も下されています。
実際は、減量苦が限界でバンタム級に上げて、テテとやるつもりが、テテが怪我・・しかもその後はオマールナルバエスとの試合が決まってしまったから
その評価を払拭するためにも、今度のマクドネル戦をクリアし、一気にバンダム級最前線へ躍り出て欲しい所です。
5/25 マクドネルに見事KO勝利でWBA正規王者(3階級制覇)、WBSS優勝候補
まとめ
以上、バンダム4王者と井上尚弥選手について書かせて頂きました。
現在4王者の中で、最も強いのはゾラニ・テテ。サウスポーのお手本のような選手で、手足が長く懐に入るまで時間を要するでしょう。現在打倒井上の最右翼に位置づけます。
力で押すバーネットが井上との対戦に踏み切る可能性は低いと思いますが、WBSSのバンダム級トーナメントが開催されれば、この二人も是非激突してほしいですね。
バンダム級トップ戦線の中で、ガバリョの強さも未知数なので、強敵との対戦が望まれます。
そしてもし可能であれば、シーサケットが階級を上げて、スーパーフライでやり残した井上との軽量級最強決定戦、これを是非見てみたいカードです。
パウンド・フォー・パウンド6位の井上選手がバンダムに上がり、今後は誰が井上を倒すのかという図式になるはずです。
日本人としては、井上選手がそのすべてを蹴散らし、内山選手、山中選手が突破できなかった連続防衛記録を突破する絶対政権を築いてほしいと思うばかりです。
井上尚弥自身も、バンタム級で具志堅用高の13連続防衛を超えると言っていますので、非常に楽しみです
来年の今頃は、井上尚弥がバンタム級を回していると思います・・
と言いますか、軽量級は、「井上尚弥中心に回っている」と思います
ワクワク
おわり