現在、ライトフライ級での日本人の存在感が強いですね
WBAスーパーとIBFの統一王者が田口良一、WBCには拳四郎、WBAの正規王者にはカルロス・カニサレス、WBOにはアンヘル・アコスタがいます。
アコスタがいる位置には、以前は田中恒成がいました。田中の返上にともない、アコスタがその位置に入っています。
日本人の宝庫のライトフライ級、最強チャンプの称号を与えられるのは誰なのか?
よく見ていきたいと思います
WBC王者 カルロス・カニサレス
WBCのカルロス・カニサレスから見ていきましょう。べネゼエラ出身の25歳、身長は約160cmで20戦19勝16KO1分の好成績を収めています。
この選手は最近の2試合を共に日本で戦っています。1試合目は田口良一戦、2試合目は現在の王座を取った小西伶弥戦です。
田口良一との1分けはあるものの、デビューから20戦無敗でKO率はライトフライ級に似合わない80%。得意は左フック、ジャブに合せたロングフックが目立ちます。
小西戦でも3ラウンドにダウンを奪っています
しかし、スタミナがないのかボディーが弱いのか、後半かなり失速しますね・・
これは田口戦でも小西戦でも見られた悪い癖です。
それで強引にパンチを振り回してくる。これをうまくいなせればよかったのですが、田口も小西もこれに若干被弾してしまい、田口とはドロー、小西には判定勝ちを収めています。
スタミナを失うと、相手に体を預けながら思い切り振る試合巧者であり、それを倒し切る日本人が出てきていないのも事実。
強いというよりも、しぶといチャンピオンといった印象です。
WBO王者 アンヘル・アコスタ
17戦16勝16KO1敗、その1敗は田中恒成選手に負けた1敗のみです。
田中戦まででKO率100%は、対戦相手の質はどうあれ、この階級では凄いですね。ミゲールコットのプロモーションに所属しています。
かなりのハードパンチャー。昨年12月に田中選手が階級を上げたため空位になった同王座をメキシコのファン・アレホと争い、10回KOで決めました。
有名なのは田中選手との試合。お互い見せ場を作るいい試合でした。田中戦以外を見ると、フィニッシュは左ボディ、フックの連打ですね。
カニサレス選手と似たタイプですが、アコスタの方が体幹がしっかりしているような印象を受けます、パンチを打っても軸がぶれていません。
しかしこの相手を判定で沈めた田中恒成、やはり強かったんですね。
個人的には田中恒成は負けるかなと思いましたが、スピードとサイドステップからの攻撃でポイントを取っていて、盤石な試合運びな印象でしたね
初回アコスタは田中にいいパンチを入れ後退させたのですが、4ラウンド以降は田中のペースで進んでいきました。
アコスタの課題としては早い回でのKOが多いことからスタミナでしょうか。
田口良一VS田中恒成の統一戦はもうなくなってしまいましたから、田中に善戦したアコスタに良い形で勝つことが日本の田口選手の実力の証明につながりますね。
WBC王者 拳四郎
父親は元日本ミドル級王者、OPBF東洋太平洋ライトヘビー級王者の寺地永。もちろん名前は北斗の拳からとっています。
中学生のときボクシングを始めたらしく、敗れてはいますが井上尚哉選手との対戦も
現在WBCの王座を2度防衛中で、王座奪還はガニガン・ロペス、防衛戦はペドロ・ゲバラとヒルベルト・ペドロサと戦っています。
チャンピオンになったガニガン・ロペス戦は生で見ていました。印象は「いたって普通の選手」といった感じです。
右ボディーはいいのですが、そこまで見せ場を作るような試合ではなかったです。
失礼ですが、「世界チャンピオンなのに可愛い」というので注目されてるだけかなといった感じです。
だがしかし、印象が変わったのはヒルベルト・ペドロサ戦。4ラウンド、左フックからの右ストレートが決まりペドロサがロープ際に後退すると、そこから拳四郎が一気にラッシュ。
そのすぐ後ボディーでダウンを奪ってます。崩れ落ちてガードががら空きになった相手にアッパーも喰らわせるなど非情なところも見せてくれました。結果KO決着です。
この成長が相手がランキング11位であることによる相対的なものなのか、それとも本当に実力があがっているのか、次のガニガン・ロペス戦でわかるでしょう。
初の世界戦という緊張もあったでしょうが、拳四郎が一番苦戦したのがロペス戦です。この選手をKOでクリアすれば、ある程度の長期政権お視野に入ってきますね。
WBAスーパー IBF王者 田口良一
以前は内山高志選手とセットで、その前座という扱いで出ていた田口選手ですが、現在は自分自身がスーパーチャンピオンになっており、ワタナベジムの顔ですね。
冗談ではスーパーチャンピオンにはなれないし、統一王者にもなれません!
同じジムから2人もスーパーチャンピオンが出るなんて、ワタナベジムは本当に人材が豊富です。練習からチャンピオンクラスと手を合わせることができるのも選手にとってはいいですね。
田口選手が有名になったのは、日本タイトルマッチでの対井上尚弥戦。
実はこれ以前にも田口対井上はスパーリングで実現しているのですが、その時は当時高校生の井上尚弥にダウンを奪われるなど、ボコボコにされていました
普通に井上尚弥がすごいのですが・・
田口良一自身、この井上尚弥戦がターニングポイントになっているようです
「Monster」井上尚弥が唯一日本人でKOできなかった相手が田口良一
井上尚弥戦で田口良一株が上がりました
以後、どんな相手と戦っても、「井上尚弥くんよりも強くはないだろう」と思えているようです
確かに、パウンドフォーパウンドのランク入りしている井上尚弥より強いライトフライ級の選手はいないと思います
これは田口良一にとって大きなアドバンテージです
世界戦防衛の始めの方は、その試合によって出来のバラツキはありましたが、最近の田口良一は試合運びも上手くなっています
田口良一の攻撃スタイルとしては、両腕を柔らかく使い、両こぶしを胸の前に置く構えが特徴。ヘッドスリップがうまいので、それもありかなと思います。
一番有利なところは、ライトフライにしては骨格が大きい所とスタミナが豊富で後半強いところですね
今まで田口と戦った選手は、すべて田口より身長が低いです、ですので体格の利を存分に活かせています。
ミニマム上りの選手や自分より身長の低い選手には、中々打たれ負けしないでしょう。
現に今まで打たれ負けしたシーンは見たことありません。相手もプレッシャーをかなり感じると思います。
それが数ラウンド続き、相手の心を折るといった試合運びが多いです、。8R以降のKOが多いことがそれを物語っています。
カニサレス戦では、ドローという結果にはなりましたが、後半常に相手を追い、KOメーカーのカニサレスを完全に逃げ腰にしていました。
パンチが特別強い、目にもとまらぬスピードがある、というわけでは全くない。
完全にタフネスで勝負する日本人が好きそうなファイターですが、その見た目からそう見られていないだけでしょうか。
どんどん強敵を相手にして、のし上がっていきたいタイプのようで、次戦は元WBAミニマム級スーパー王者のヘッキー・ブドラーとの対戦が予定されています。
この選手は、田口選手の直近の相手であるミラン・メリンドと対戦し負けています。
正規団体でライトフライで王者をとったこともないですし、身長も160cmと田口選手のいつもの相手と同じくらいです。
このレベルの選手には是非勝ってもらい、日本人同士の統一戦が楽しみですね。
ライトフライ級は誰が一番強いのか?
現時点で言えば、やはり田口良一でしょう。防衛回数やWBAスーパー、IBFの統一王者の座にいることからして、異論はないと思います。
カニサレス、アコスタ、拳四郎の三人はほぼ同列位置にいる感じがします。
この3人をして、田口良一の打たれ強さやプレッシャーに打ち勝つことは出来ないでしょう。
拳四郎がこの前見せた脱皮も、相手がランキング11位でしたから、ガニガン・ロペス相手にあのパフォーマンスができれば
田口良一対拳四郎というカードに現実味がますはずです。
ここに田中恒成がいたら、田口との比較もあって予想が難しいところだったんですが、既にフライ級に戦場を移しているので
田口良一選手に軍配をあげたいと思います。
まとめ
現時点でライトフライ最強は田口良一選手でしょう
今ライトフライ級はWBAスーパー、IBF、WBCを日本人が占めている状態で、カニサレスもアコスタも直近の日本人との試合で弱点が見えているようです。
このライトフライの最強選手である田口選手には、もしかしたら4団体統一なんて期待もかけてしまってもいいのではないでしょうか。
そしたら田口良一VS拳四郎も必然的に避けられないので、ファンとしては是非田口選手の今後の動向に注目です。
おわり