ボクシング、WBO世界フライ級タイトルマッチが行われ、挑戦者の田中恒成が王者の木村翔に挑み、判定で王座獲得しました!
これで田中恒成はミニマム、ライトフライと続いてフライ級でも王者になり、あの「ハイテク」ワシル・ロマチェンコに並ぶ史上最速タイの3階級制覇達成です。
この試合は「男と男の意地のぶつかり合い」そんな試合でした。
この試合模様と、木村翔の今後について書いていこうと思います。
エリートVS雑草
田中恒成VS木村翔
エリートVS雑草
試合前はそんな呼ばれ方をしました。
確かに田中恒成はアマチュアから数々のタイトルを獲り、プロデビュー戦が世界ランカーと、とんでもないマッチメイク。
あの井上尚弥でさえ、そんなマッチメイクはなかったのに・・
そしてデビュー5戦目で世界タイトル奪取⇒8戦目で2階級制覇。
そんなボクサーは井上尚弥以外いない。
一方の木村翔の方は「叩き上げ」でここまで成り上がりました。
プロデビュー戦で敗北・・そんなボクサーが世界まで上り詰めるのだから。
そして酒屋さんでアルバイトをしながらボクシングもこなし、まさにハングリー。
漫画に出てきそうな歩み方。
そして、やってきた世界戦。木村翔にとって世界戦は「かませ犬」扱いな感じだったと思う。当然完全アウエーで(中国)断然不利な状況。判定では絶対負ける。
当時王者のゾウ・シミンはトップランク社と別れて独自プロモートを展開。なので負けるわけにはいかないので、無難な、また弱すぎない相手を選択、それが木村翔だったと思う。
中国ではボクシングはあまりメジャーなスポーツではありませんし、血を見るのはあまり好きな人種ではないそうです。
ただゾウ・シミンがオリンピック金メダリストを引っ下げ、世界チャンピオンになったので人気が高まり、木村翔戦をあらたな自身のプロモートとしての試合だったのだが・・
木村翔がゾウ・シミンを劇的KO勝利を収めたので、中国市民が木村翔を応援するようになりました。
そして木村翔は中国で、あの卓球の福原愛に次ぐ日本人の人気スポーツ選手として取り上げられています。
まさにチャイニーズドリームの体現者!
関連記事:ボクシング、木村翔の中国の反応は?チャイナドリーム体現者!
そんなまったく違う人生を歩んできた同士が激突しました。
田中恒成VS木村翔
この試合は、個人的にはとても楽しみにしていたのですが、全国放送ではなく、CBCテレビのみの放送でした。
TBSでは9月26日の26:50~27:50で再放送します。
試合展開
第1ラウンドは、木村翔が前に出て、得意の接近戦で田中恒成を手数で上回る。ボデーブローから顔面への攻撃が好印象に残りました。
第2ラウンドも序盤は木村翔ペース、的確にボディー、顔面にヒットさせていいペースでしたが、田中恒成もだてに「中京の怪物」を名乗ってません。
ラウンド中盤から、田中恒成の左フックがカウンター気味に木村翔に確実にヒット!!
木村翔はこのフックでグラついてしまいます。そこを仕留めに行く田中恒成、ロープ際に追い込んでラッシュをかけて木村翔を追い込む。
だがそこで終了のゴング!木村翔は救われました。ちなみに、この田中恒成の攻撃で木村翔の目は腫れてしまい、以後視界が遮られ見えなかったそうです。
3ラウンド以降も田中恒成の攻撃は続いて、木村翔を追い込んでいく。そして田中恒成の得意な「サイドステップ」も出てきて、距離感がつかめたか?木村翔のパンチをかわしていく。
木村翔は苦しい展開になっています。私の印象には、手数は出しているが、ブロックされ、かわされ、逆に攻撃をもらっていたので、あきらかにラウンドを田中恒成に取られているなと・・
このままズルズル田中恒成ペースで行くと思いきや、木村翔も「雑草魂」で接近戦に持ち込み活路を見出す。今から思うと、2ラウンドで左フックをもらい右目が見えなくなったから接近戦にしたのかなと。
それでも田中恒成はいい「距離間」を保ち、バックステップ、サイドステップで木村翔のパンチをことごとくかわしていく。そしてボディーから顔面の攻撃で的確にヒットさせてダメージも与えていた。
だが木村翔も最後の意地か、11,12ラウンドは木村翔の攻撃が勝っていたと思う。田中恒成は残り2ラウンドはバテたか、パンチをもらう場面が見受けられましたね。
そして12ラウンド終了!結果は判定に。
ジャッジの結果は、
- 114―114
- 115―113
- 116―112
で田中恒成がnewチャンピオンに!
史上最速タイの3階級制覇を達成しました!!
これであの、現在パウンドフォーパウンド1位のワシル・ロマチェンコの持つ12戦目での史上最速3階級制覇に並ぶというとんでもない記録が打ち立てられましたね。
あの「The monster」井上尚弥でも最速では達成できなかった3階級制覇ですからね。
しかも田中恒成はまだ23歳ですから、さらに上の階級に行くのか、またはフライ級で長期政権を築くのか。
これで田中恒成は12連勝(7KO)、木村翔は17勝(10KO)2敗2分けに。
木村翔は引退?
この対田中恒成戦で敗れてしまった木村翔の今後はどうなるのだろうか?
最終ラウンドのジャッジでは田中恒成に10を付けていたジャッジがいました。私は11,12ラウンドは木村翔が取っていたと思っていたので、これがもし木村翔に10が入っていたら、114-114のドロー。
ちなみに、私の素人のジャッジだと、116-112で田中恒成が獲ったと思いました。
結果は0-1でも木村翔の防衛となったはず。なので木村陣営は、再戦の要求をしていますが。。
一方の木村翔は今後について
「もうないです。ボクシングをやりたいと思わない。今はやりたくない」
と断言しています。ただ・・
「まぁ、またやりたいって思うかも」
「燃え尽き症候群。それくらいの気持ちでやっていた」
「引退しよ~。燃え尽きたわぁ」
ともコメント。進退についてはどうだか・・厳しいのではないかと思いますが。
まとめ
雑草VSエリート対決となった木村翔VS田中恒成の世界タイトルマッチは、田中恒成の判定勝ちで、史上最速タイの3階級制覇を達成しました。
やはり、ディフェンスに長けている田中恒成の方が1枚上手だったかなという印象がしましたね。
木村翔の方も、勇気をもって序盤からバチバチに打ち合って活路を見出しましたが、2ラウンドにもらったフックで右目が見えなくなってしまい、また拳も痛めたようで思うように攻撃ができず後手に。
最後に意地を見せたが、王座陥落。進退はまだ未定ですが、やりきった感があるようなので、どうだか・・
この試合は、世界戦に相応しいバチバチに打ち合った試合でとてもいい試合を魅せていただきました。
ロマチェンコVSリナレス、ゴロフキンVSアルバレス、木村翔VS田中恒成。
ボクシングはいいな。
おわり