パウンドフォーパウンド

【完全保存版】ボクシング歴代PFP1位の全リスト|マイク・タイソンから井上尚弥まで、最強の称号を継ぐ者たち

ボクシングファンなら、酒の肴に一度はこの話題で激論を交わしたことがあるはずです。
「Pound for Pound(パウンド・フォー・パウンド/PFP)」

「もし階級の壁を取り払い、全員が同じ体重だったとしたら、誰が一番強いのか?」

この言葉が単なるファンの空想ではなく、権威ある「称号」として定着したのは、1989年にボクシングの聖書『The Ring(リング・マガジン)』がランキング制度を確立してからです。

本記事では、リング誌が認定した「歴代No.1」のボクサーたちを一挙に紹介します。
マイク・タイソンに始まり、デ・ラ・ホーヤやモズリーらが覇権を争った黄金期、そして日本の井上尚弥へ。歴史を変えた男たちの系譜を紐解きます。

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【データ】歴代リング誌PFP1位獲得者リスト(1989年~現在)

まずは、歴代のキングたちをリストで確認しましょう。
特に90年代後半から00年代前半は、伝説的な王者が直接対決で「最強の称号」を奪い合った激動の時代でした。

在位期間 (目安) 選手名 階級・主な実績
1989 - 1990 マイク・タイソン (米) 破壊の象徴。絶対王者時代の最後
1990 - 1993 フリオ・セサール・チャベス (メキシコ) 89戦無敗の伝説、3階級制覇
1993 - 1997 パーネル・ウィテカー (米) 4階級制覇、"アンタッチャブル"な守備
1997 - 1999 オスカー・デ・ラ・ホーヤ (米) ウィテカーを破り1位へ。6階級制覇
1999 - 2000 ロイ・ジョーンズ・Jr (米) 身体能力の化身。ミドル〜ヘビー級制覇
2000 - 2002 シェーン・モズリー (米) デラホーヤを撃破したスピードスター
2002 - 2004 ロイ・ジョーンズ・Jr (米) モズリー敗北により返り咲き
2004 - 2005 バーナード・ホプキンス (米) ミドル級絶対王者。「死刑執行人」
2005 - 2007 フロイド・メイウェザー・Jr (米) 5階級制覇、無敗のまま引退(1回目)
2008 - 2011 マニー・パッキャオ (フィリピン) アジアの英雄、史上2人目の6階級制覇
2012 - 2015 フロイド・メイウェザー・Jr (米) 復帰後、再び頂点へ。カネロらを撃破
2015 - 2016 ローマン・ゴンサレス (ニカラグア) 通称"ロマゴン"。軽量級の復権
2016 - 2017 アンドレ・ウォード (米) Sミドル&Lヘビー級制覇。無敗のまま引退
2017 - 2018 ゲンナジー・ゴロフキン (カザフスタン) ミドル級最多防衛タイ。最強の倒し屋
2018 - 2019 ワシル・ロマチェンコ (ウクライナ) 精密機械"ハイテク"。史上最速3階級制覇
2019 - 2022 カネロ・アルバレス (メキシコ) 4階級制覇、Sミドル級4団体統一
2022 (一時) オレクサンドル・ウシク (ウクライナ) クルーザー&ヘビー級2階級4団体統一
2022 - 2023 井上尚弥 (日本) 日本人初1位。バンタム&Sバンタム級2階級4団体統一
2023 - 2024 テレンス・クロフォード (米) 史上初「2階級での4団体統一」達成
2024 - 現在 オレクサンドル・ウシク (ウクライナ) フューリー撃破により返り咲き

黎明期:破壊の象徴とメキシコの神(1989-1993)

最初の1位:マイク・タイソン

リング誌がPFPランキングを制度化した1989年、その頂点にいたのは間違いなく「地球上で最も危険な男」、マイク・タイソンでした。
1990年に東京ドームでジェームス・"バスター"・ダグラスに敗れるまで、彼のスピードと破壊力は「人間を超えた何か」として認識され、PFPの歴史は彼から始まりました。

メキシコの英雄:フリオ・セサール・チャベス

タイソン陥落後、王座についたのはメキシコの至宝フリオ・セサール・チャベスです。
デビューから89戦無敗という不滅の記録を樹立。無尽蔵のスタミナと、相手のボディをえぐる執拗な攻撃は「メキシカン・スタイル」の最高到達点とされています。

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伝説の群雄割拠時代(1993-2005)

90年代中盤から2000年代前半は、歴史に残るレジェンドたちが「直接対決」で1位の座を奪い合った、最も熱い時代です。

触れることすら許さない:パーネル・ウィテカー

「打たせずに勝つ」美学の体現者。目の前にいるのにパンチが当たらない"アンタッチャブル"な守備技術で、長期にわたり1位に君臨しました。

黄金の輝き:オスカー・デ・ラ・ホーヤ

1997年、そのウィテカーを判定で破り、実力で1位の座を奪い取ったのが「ゴールデンボーイ」です。人気だけでなく実力も兼ね備え、6階級制覇を達成したスーパースターです。

スピードの化身:シェーン・モズリー

2000年、無敗だったデ・ラ・ホーヤを破る番狂わせを起こし、頂点に立ったのがシェーン・モズリーです。ライト級最強のままウェルター級へ上げ、その圧倒的なスピードで「パッキャオ以前の躍進」を見せました。

ミドル級の絶対王者:バーナード・ホプキンス

40歳目前にして頂点に立った「死刑執行人」。デ・ラ・ホーヤをボディ一撃で沈めてミドル級4団体統一を達成。老獪なテクニックで若き挑戦者たちを跳ね返し続けました。

神の領域:ロイ・ジョーンズ・Jr

そして、この群雄割拠の時代を通じて常に「最強」の呼び声が高かったのがロイ・ジョーンズ・Jrです。
ミドル級出身でありながらヘビー級王座を奪取する離れ業を演じ、モズリーやホプキンスが敗れるたびに1位に返り咲いた、まさに「天才」でした。

富と名声の独占:メイウェザー vs パッキャオ(2005-2015)

2000年代後半、ボクシング界は二人のスーパースターによって牽引されました。

  • フロイド・メイウェザー・Jr
    5階級制覇、50戦全勝。デラホーヤ、モズリー、パッキャオ、カネロら歴代の1位経験者や強豪をすべて完封しました。
  • マニー・パッキャオ
    フィリピンの貧困街から這い上がったアジアの奇跡。フライ級からSウェルター級まで、体重差約20kgの壁を越えて「6階級制覇」を成し遂げました。

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歴史が動いた日:井上尚弥と「3強」の時代(2015-現在)

メイウェザー引退後、カネロ・アルバレスらが時代を築きましたが、私たち日本人にとって最も重要な転換点は2022年に訪れました。

"モンスター" 井上尚弥の快挙

かつてPFPランキングの上位は、アメリカやメキシコの中重量級ボクサーに独占されるのが常でした。その「ガラスの天井」を粉々に砕いたのが、井上尚弥です。

2022年6月、ノニト・ドネアを2R TKOで沈め、日本人として史上初めてリング誌PFP1位に選出されました。「軽量級でも、パワーと技術があれば世界を熱狂させられる」ことを証明したのです。

現在は歴史的な「3強時代」へ

2025年現在、PFP戦線はオレクサンドル・ウシクテレンス・クロフォード井上尚弥の3人がトップを争う「三つ巴」の時代です。

歴代の王者たちが紡いできた「最強」の系譜。次にそのページに名を刻むのは誰になるのでしょうか。

まとめ:我々は今、「黄金時代」を目撃している

1989年のマイク・タイソンから始まり、フリオ・セサール・チャベス、ロイ・ジョーンズ・Jr、フロイド・メイウェザー、そして井上尚弥へ。

こうして歴代の1位を振り返ると、PFPランキングとは単なる強さの順位表ではなく、「ボクシングという競技の進化の歴史」そのものであることが分かります。

かつてはヘビー級のパワーが全てでした。しかし、ウィテカーやメイウェザーが「打たせない技術」を極め、パッキャオや井上尚弥が「スピードと破壊力」で階級の壁を破壊したことで、現代ボクシングは軽量級から重量級まで、すべての階級が主役になれる時代へと成熟しました。

次の伝説は誰だ?

2025年現在、我々はオレクサンドル・ウシク、テレンス・クロフォード、井上尚弥という、別々の時代にいれば全員が長期政権を築いていたであろう3人の怪物が、同じ時代に競い合う「奇跡的な黄金時代」を生きています。

そして、その背後には中谷潤人ジェシー・ロドリゲスといった、次代の怪物がすでに牙を剥いています。

このリストの「次の一行」に刻まれる名前は誰なのか。
歴史が動く瞬間を、ぜひその目で見届けてください。

 

 


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