ボクシングのトーナメント戦と言えば、日本人に馴染み深いのは東西新人王トーナメント。
このトーナメントで全日本新人王になり、世界チャンピオンになったボクサーも多数います。
あとは、日本タイトル挑戦権獲得を目指したA級ボクサーによる「最強後楽園」なんていうイベントもあります。
ジム・プロモーターによるマッチメイクで試合が組まれるよりも、トーナメントの方は誰が一番強いのかという事がより明確になるので
より多くのお客さんが集まります。全日本新人王の決勝なんかは後楽園ホール毎年ほぼ満席状態です。
とはいってもタイトルマッチ制度がメインのボクシング界。世界トップクラスでトーナメントの開催は、これまでありませんでした。
しかし、そんな中で誕生したのがWBSS「ワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ」です。
このWBSSとはどんなイベントなのか?井上尚弥の出場の可能性、そして優勝賞金に関しても触れていきたいと思います。
WBSSとは?井上尚弥の出場の可能性は?
WBSSの公式HPによると、WBSSとは毎年行われる予定のボクシングのトーナメント。
「best of the best」の称号と、モハメド・アリの名前が刻まれたモハメド・アリトロフィー
そして莫大な賞金を巡りWBA、WBC、WBO、IBFの王者を含めたランキング15位までの選手が出場できるトーナメントです。
実は以前にもWBSSと似たようなトーナメントは開催されています。「スーパー・シックス ワールド・ボクシング・クラシック」というスーパーミドル級トーナメント、2009年10月に開始されました。
結果はアンドレ・ウォードの優勝という事で幕を閉じたのですが、この大会は正直大成功といえるものではありませんでした。
その後開催されていないところを見ても、主催側もそう感じたのでしょう。
まず、開催期間が長すぎた。2009年10月からスタートし、優勝が決まったのが2011年12月。約2年も有していては、イベントの新鮮味は薄れてしまいます。
丁度サッカーのワールドカップのようにリーグ戦を行ってから、ポイントの多い4名が決勝トーナメントに進むというもの。
グループリーグではそれぞれが3試合行うことになります。
故に怪我による離脱も多かったです。
参加していたジャーメインテイラー、ミッケル・ケスラー、アンドレ・ディレルは怪我でトーナメント途中離脱となり
正規の試合数をこなしたのは決勝でアンドレ・ウォードに敗れたカール・フロッチと、同じく準決勝でウォードに敗れたアルツール・アブラハムだけでした。
これではトーナメントの醍醐味である、最強は誰なのか、という問いに対し非常に曖昧なまま終わってしまっています。
出場した選手はチャンピオン、乃至チャンピオンクラスだったので期待はされましたが、その分結果を見るとこのイベントに対する落胆の方が大きかったと言えます。
では、成功とはいえなかった「スーパー・シックス ワールド・ボクシング・クラシック」に次いで開催されるボクシングの大型トーナメントであるWBSS、どのような大会なのか見ていきたいと思います。
出場する選手は計16名、スーパーミドル級とクルーザー級からそれぞれ8名の選手が出場しています。
スーパーミドル級から名前の有るボクサーは、ジョージ・グローブス、カラム・スミス、クリス・ユーバンク・ジュニアといったところでしょうか。
K-1に出場していたニッキ―・ホルツケンもメンバーに入っていました。
クルーザーからはWBO王者オレクサンドル・オシク、WBC王者マイリス・ブリエディス、IBF王者ムラト・ガシエフなど、WBA王者デニス・レベデフ以外三団体の王者が集まり
さながら統一戦の意味合いもあります。
スーパー・シックスの反省を活かしてイベントが長引くリーグ戦はなく、いきなりトーナメントからの開催となっています。
既に準決勝まで行われており、今年5月に行われる決勝は
スーパーミドル級がジョージ・グローブス対カラム・スミス、クルーザー級はオレクサンドル・オシク対ムラト・ガシエフになりました。
優勝の称号だけではなく、団体のベルトも賭けられ、選手にとっては非常にモチベーションの高いトーナメントになっています。
そしてこのWBSS、公式ではありませんが、大橋ジムとコンタクトを取っているという情報がBoxing Scene.comから出ています。
大橋ジムから声明は出ていませんが、確実な情報でしょう。
WBSSのプロモーターであるカレ・ザワーランドは、かねてより下の階級でのWBSS開催を望んでおり、
候補としてはスーパーフライ、バンダム、フェザーが挙がっています。近く正式にアナウンスするとのこと。
目下、大橋ジムは井上の次戦であるジェイミー・マクドネル戦に集中しているようで,WBSSへの参加に関しては正式発表していません。
しかし、マクドネルのプロモーターであるエディ・ハーン氏はWBAスーパー王者ライアン・バーネットのプロモーションも務めており
ハーン氏によればバーネットはWBSSに参戦を希望しているとのこと。
プロモーション傘下ではありませんが、WBO王者のゾラニ・テテの参戦可能性も示唆しています。
スーパーフライで統一戦が出来ず、はっきりした形で「最強」を示せなかった井上選手がこの話に乗らないはずはありません。
WBSS側も井上選手がバンダムに上がってきたことで、その階級のトーナメント参加を打診したようで、本人も「決まれば出る」と言っています。
マクドネル戦に勝つことが最低条件になるでしょうが、海外メディアでも大方の予想は井上選手が優勢です。
WBSSにとっても、井上のようにPFPランキングに入っている選手の参戦はスーパー・ミドル、クルーザーのトーナメントではなかったので、大会に箔をつける良い材料でしょう。
強すぎる故相手が見つからないという贅沢な悩みを抱えていた井上選手にとって、相手がどれだけ強くても戦わざるを得ないトーナメントは、まさに待ち望んでいた舞台のはずです。
ファンとして欲を言えば、マクドネル戦後のリング上で、堂々とWBSS参戦を表明してもらいたいものです。井上選手の出場、多いにありえます!
優勝賞金はいったいどれくらい?
このWBSS、スーパー・シックス以来の大型ボクシングトーナメントとして注目されていますが、その賞金総額も桁違いです。
スーパーミドル、クルーザーの各優勝者へはそれぞれ約10億円、全ての選手への総額を合わせると、50億円規模の大イベントなのです。
その多くは放映料から。ヨーロッパ各国に放映網を持つ13社がテレビ・パートナーとして名を連ねていますが
ここで注目すべきはアメリカのSHOWTIMEやHBOが入っていないということ。
なぜかというと、このWBSSの主催企業Comosaの代表2人に注目すれば分かります。
一人はウィルフリード・サ―ランド。彼はドイツのプロモーターであり、ヨーロッパを中心にスーパーミドル、クルーザーの選手を多く抱えています。
今回のトーナメントがスーパーミドル、クルーザーになったのも彼によるところが大きいでしょう。
しかし、特にクルーザー級というのは「アメリカ副大統領」と揶揄され、殆ど注目されていないのも事実、
今後イベントとして大きな成功を収めるためには、井上尚弥はじめビッグネームの参戦が不可欠です。
その鍵を握っているであろう男が、元GBPゴールデン・プロモーションズの重鎮
リチャード・シェイファーです。今回のWBSSはヨーロッパエリアでは成功といえますが、SHOWTIME、HBOなどアメリカ大手放送局での放映はありませんでした。
これはおそらくGBPとシェイファーの良くない関係性が、トップランクなど大物プロモーターへ波及しているのでしょう。
今回のスーパーミドル、クルーザーの中にもGBPやトップランク所属の選手はいませんし、次回打診している井上やバーネットも傘下ではありません。
Comosaにとっては、アメリカ市場での成功がWBSSにとって重大なファクターになるはずです。
事実、50億円もの資金調達をしたのもシェイファーとサ―ランドのプロモーターとしての手腕があってこそ。
プロモーターの都合第一ではなく、ファン第一で、見たいカードを見れるWBSSにしてもらいたいですね。
まとめ
以上、WBSSに関して、そして井上尚弥参戦の可能性に関してまとめさせていただきました。
スーパー・シックス以来となる大型トーナメントは、次回軽量級で開催される可能性が濃厚。
そこにWBSS側は井上尚弥に打診しているので、スーパーフライでは統一戦が出来なかった井上選手がこの話に乗ってくるのはほぼ確実です。
莫大な賞金も魅力の一つ。初回は50億円でしたが、井上選手のようなPFPランカーが入ってくれば、さらなる増額も見込めるかもしれません
おわり
↓↓これからの井上尚弥とWOWOWの相性は抜群です!↓↓